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日本の自動運転車市場、33年に3.7倍規模に成長

2025年10月9日 (木)

調査・データインドの市場調査会社アステュート・アナリティカは7日、日本の自動運転車市場は2024年の35億2000万ドルから、33年には131億2000万ドルへと3.7倍規模にまで拡大するとのレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は15.76%を見込んでいる。

レポートによると、日本の自動運転車市場は、AI(人工知能)やセンサー、通信ネットワークなどの最先端技術の発展によって拡大を続けている。LiDAR(ライダー)やレーダー、高度なカメラシステムの統合によって、車両は周囲を高精度に認識できるようになり、AI搭載アルゴリズムがこのデータをリアルタイムで処理し、安全で信頼性の高いナビゲーションを支援。これらの技術はレベル3、レベル4の自動運転の基盤となり、日本の道路で試験運行も行われている。

5Gネットワークの展開も推進要因で、自動運転車が信号機や道路センサー、ほかの車両と相互作用することで交通安全と効率性を高める両間通信(V2X)の導入も進んでいる。さらに高精細マッピングやクラウドコンピューティング、機械学習の進歩で、密集した都市環境や道路インフラに適応する自動運転モデルの精緻化も進んでいる。

また、急速な高齢化と労働力減少が進むなか、高齢者の移動支援や物流・旅客輸送の人手不足の解消といった観点からも自動運転への期待は高い。さらに交通事故の減少にも寄与すると考えられている。

日本のEC(電子商取引)市場の成長も同市場の拡大要因で、当日配送やラストマイル物流の需要増加にともない、効率向上と運営コスト削減のため自動運転トラックや配送車両の導入が検討されている。

政府も自動運転車の開発と導入に積極的で、「Society 5.0」構想やスマートシティプロジェクトのもと、自動運転車の都市インフラへの統合が進められている。日本は公道でのレベル3自動運転を世界でいち早く許可した国の一つで、レベル4車両の試験環境を拡大する政策の策定も進められ、特に工業団地や地方など指定区域での展開が図られている。

課題は、ハッキングやデータ侵害のなどのサイバーセキュリティーで、堅牢なセキュリティー体制の確保が求められている。また、日本では安全性や事故時の責任、データプライバシーを懸念する消費者が多く、公共教育や透明性のある試験、確かな安全実績を通じた信頼構築が普及のために不可欠となっている。

今後、日本では自動運転シャトルが従来のバスに代わる交通手段となると予想され、物流・貨物分野でも、長距離路線向けの自動運転トラックの試験運用が進む一方、ラストマイル物流では小型配送ロボットの普及が進み、配送時間の短縮、コスト削減、ドライバー不足といった課題を解決する。医療分野でも、患者搬送や移動型医療サービス、緊急対応において役割を果たすと期待され、観光分野でも国内外の観光客の旅行体験を向上させられる。

地域別では、東京、大阪、名古屋などの都市部が自動運転車の早期商用化を牽引する可能性が高い一方、地方では自動運転シャトルやモビリティーサービスが移動手段の不足解消と住民の生活の質向上に寄与すると期待される。

同社は「日本では33年までにレベル3やレベル4の自動運転車が広く普及し、民間・公共交通システム双方に統合される」とし、日本は自動運転分野における世界的リーダーとしての地位を確立するとしている。

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