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タイでバイオ炭の農業活用に向け連携、TOWING

2025年10月29日 (水)

産業・一般高機能バイオ炭「宙炭」(そらたん)を開発・製造する農業系のスタートアップ、TOWING(トーイング、名古屋市千草区)は29日、アジア有数のコングロマリット、サイアムセメントグループ(SCG)のグループ会社、SCGセメント(タイ・バンコク)と、タイの低炭素な農業サプライチェーン構築に貢献するため、戦略的パートナーシップに関する覚書(MoU)を締結したと発表した。今月17日に、マレーシアのクアラルンプールで開かれたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)関連イベントで提携を公表した。

TOWINGは名古屋大学発のスタートアップで、植物から作った炭などに微生物を加えて製造される高機能バイオ炭を人工土壌にして販売。この技術で、宇宙開発利用加速化プログラム(スターダストプログラム)にも参加し、月面での農業を実現する研究開発に取り組んでいる。

タイは世界有数の農業大国で、世界経済で重要な役割を担っているが、長年の集約的な農業によって一部の農地では土壌の劣化が課題となっている。

▲クアラルンプールにて開催されたAZECの式典の様子(出所:TOWING)

この課題に対し、SCGセメントはサステナビリティ戦略の一環として、農業残さなどを活用したバイオ炭の製造と普及に向けたプロジェクトをタイ国内で推進している。今回、SCG セメントのバイオ炭事業でTOWINGの微生物技術を活用し、バイオ炭の付加価値を向上させるため、連携を図ることになった。

バイオ炭を使うことで、農地の土壌の健全性を回復させ、作物の生産性を向上させるとともに、化学肥料の使用量削減を目指す。また、炭は炭素を固定し、CO2の吸収効果も期待できることから、温室効果ガス(GHG)排出量の削減にもつながる。

これによって、高付加価値で持続可能な農業モデルを構築し、気候変動に対応しながらタイの農業競争力を強化する。

具体的な取り組みの第一歩として、サラブリー県にあるSCGセメントの工場の隣に、TOWINGの技術を活用した微生物培養設備を建設する準備に着手した。これによって原料の輸送コストを抑え、一貫した品質管理のもとで宙炭を生産する体制の構築を図る。

また、タイ国内の農場で共同実証試験にも着手しており、生産と実証の両面から事業化を加速させていく。

今後、両社ではプロジェクトを推進していくため、食品企業や農業関連企業、国際金融機関、政府機関との連携も模索していく。

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