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産学で探る“持続可能な物流”、7大学が研究発表

2025年12月8日 (月)

認証・表彰NS物流研究会は6日、東京海洋大学で「第17回物流関連ゼミ学生による研究発表会」を開催した。今回は全国7大学の物流関連ゼミが参加し、物流・ロジスティクス分野の研究成果を発表した。会場は東京海洋大学越中島キャンパスで、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で実施。発表後には審査と講評が行われ、東京海洋大学が優勝、神奈川大学が準優勝、城西大学が敢闘賞をそれぞれ受賞した。

▲優勝の賞状を受け取る東京海洋大学・黒川ゼミ

NS物流研究会は2005年度、06年度国土交通省自動車交通局貨物課が主催した「若手トラック経営者等によるトラック事業の明るい未来を切り開く方策等を検討する研究会」に参画したメンバーが、その後、自主的な研究会として設立した組織で、産学連携による物流研究と人材育成を目的に活動を続けている。

▲発表会参加者の記念撮影

東京海洋大学・黒川ゼミは、「企業との共同研究から見えた“壁”:物流データの活用方法と意識改革」をテーマに発表した。少子高齢化による生産年齢人口の減少を背景に、物流現場では作業効率の改善と生産性向上が急務となっている。発表では、企業との共同研究やヒアリングを通じて得られた知見を基に、物流業務におけるデータ活用の重要性を再評価。現場が自らデータを読み解き、継続的な業務改善を実践できる状態をどう実現するかについて具体的なアプローチを示した。感覚的な判断に頼らず、データに基づく意思決定が課題解決にどう寄与するかを検証し、最終的には荷主や運送事業者の意識改革の必要性を提言した点が高く評価された。

▲「物流危機に対応した共同配送・共同物流の促進に関する研究」について発表する、準優勝の神奈川大学・齊藤ゼミ

神奈川大学・齊藤ゼミは、「物流危機に対応した共同配送・共同物流の促進に関する研究」をテーマに発表。ドライバー不足の進行に加え、時間外労働規制の施行によってトラック輸送能力の低下が懸念されるなか、共同配送・共同物流の重要性は一段と高まっている。発表では、すでに進められている企業の取り組みを踏まえ、共同配送・共同物流を展開する際に直面する課題を整理。その上で、課題解決に向けて必要となる方策を示し、物流危機下における共同物流の発展条件を理論と実態の両面から明らかにした。

▲「備蓄米の流通について」を発表する城西大学・上村ゼミ

城西大学・上村ゼミは、「備蓄米の流通について」をテーマに発表した。2024年以降、いわゆる「令和の米騒動」とも呼ばれるコメの買い占めと品薄が発生し、政府は価格安定と需給調整を目的に備蓄米を放出したが、需要に対して供給が追いつかず、流通の遅れが問題となっている。発表では、この備蓄米流通の遅れが生じる要因を構造的に分析し、課題解消に向けた具体的な提案を行った。食料安全保障と物流の関係を正面から取り上げた点が特徴的だった。

▲「物流業界における人材不足問題の実態研究」について発表する大阪産業大学・浜崎ゼミ

そのほか、大阪産業大学・浜崎ゼミや流通経済大学・大島ゼミが物流・運送業界で大きな問題となっている人材不足問題について、朝日大学・土井義夫ゼミが対策が義務化された熱中症対策について取り上げるなど、業界のトピックとなる話題を取り上げた。また、高崎経済大学・金ゼミは、災害時に注目を集めているドローン活用について、地元・高崎市を事例とした発表を行った。

▲「物流企業における熱中症対策としての新素材ユニフォームの導入可能性に関する研究」について発表する朝日大学・土井義夫ゼミ

▲「法改正によるトラックドライバーへの影響と人材確保対策に関する研究」を発表する流通経済大学流通情報学部・大島ゼミ

▲高崎経済大学・金ゼミ

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