
記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「予算上限で高速料金考慮しルート検索、ナビタイム」(1月20日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)
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ロジスティクスナビタイムジャパン(東京都港区)は1月に、カーナビアプリ「カーナビタイム」の「高速道路料金の上限設定ルート検索」機能提供を開始した。この機能は、物価高騰や燃料代負担に喘ぐ現場を支援する利便性の高いツールである一方で、物流業界が抱える構造的課題を浮き彫りにしている。
本来あるべき姿と現場の「やりくり」
本来であれば、運送会社は荷主から適正な運賃を収受した上で、会社側が責任を持って運行計画を組むべきである。高速道路などをどの程度使うのか、運行時間はどのくらいかかるのか、そしてどのようなルートで走るのかといった高度な意思決定は、管理側が行うのが筋だろう。
しかし現状は、運行管理側と現場の間に大きな情報の断絶がある。会社からは「予算は〇〇円まで」という枠組みだけが提示され、その限られた予算の中で「いくら払って、何分短縮するか」という費用対効果の最終的な判断は、現場のドライバー個人に事実上丸投げされているケースも少なくない。ドライバーは孤独な境遇のなか、自らの裁量でいろいろと時間をやりくりしながら運行せざるを得ないのが実態だ。
現場の苦境を支える新機能の切実なニーズ
このような過酷な現状があるからこそ、ナビタイムの「高速道路料金の上限設定ルート検索」機能には切実なニーズが存在する。設定された予算内で高速利用区間を最適化し、最大6種類のルートを提示してくれるこのシステムは、複雑なやりくりを強いられるドライバーにとって非常にありがたい存在だ。
適正な原価が支払われない構造の中では、ドライバーは自らの安全や休息時間を削ってでもコストを抑えることを選ばざるを得ない状況に追い込まれることがある。同システムは、そうした制約の多い状況下で、ドライバーが少しでも最適解を見つけるための心強いツールとなっているのだ。
適正原価の収受を目指す、物流DXの真の地平
しかし、この便利なツールが図らずも露呈させたのは、現場の裁量に依存しすぎる業界の構造的課題である。DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデジタル技術の導入により、経営を大きく変革するものであり、単なる現場の「やりくり」の支援にとどまってはならない。
ゆくゆくは、運送会社が燃料代や高速代も含めて「適正原価」としてしっかりと収受できるようになることが不可欠だ。そのためには、現場の走行データやコスト判断をエビデンスとして経営の言葉へと変換し、時間短縮や安全のために必要なコストを、荷主・運送会社・ドライバーの三者が透明性を持って分担できる統合的な仕組みが必要となる。テクノロジーは、現場の苦労を覆い隠すための道具ではなく、正当な対価を主張するための武器となるのが、本来のあり方。ナビタイムのこの機能は、変革の途上にある物流業界のやむにやまれぬニーズに応えたものと言えるだろう。(土屋悟)
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