行政・団体国土交通省は、2027年度予算の概算要求で「総合物流施策大綱」を踏まえた物流革新の抜本的強化に381億円を要求した。前年度予算の3.07倍で、2030年度までの「集中改革期間」に向け、物流の生産性向上や商慣行の見直し、人材確保、自動運転トラック、次世代型倉庫などへの支援を拡充する。国交省全体の一般会計要求額は8兆7694億円で、26年度当初予算比1.35倍とした。
物流分野では、中小物流事業者による機械化・自動化・デジタル化を支援するほか、トラック・物流Gメンによる悪質な荷主や元請事業者への是正指導に向けた調査、トラック適正化2法や改正物流法に基づく規制措置の効果検証、トラック運送業の事業基盤強化などを進める。物流倉庫での外国人材の適正な受け入れ環境についても調査する。
このうち、物流・自動車局の概算要求では、荷主の行動変容や中継輸送、自動運転、物流施設のDX(デジタルトランスフォーメーション)などに具体的な支援メニューを設定した。同局の物流関係の要求額は209億円で、別途、物流施設やDX・GX(グリーントランスフォーメーション)投資などへの財政投融資として239億円を要求している。
荷主の発注改革に61.9億円
物流・自動車局では、発着荷主の商慣習を変える施策に61.9億円を要求した。相当量の貨物を扱う特定荷主が物流事業者と連携し、配送回数の削減や配送ルートの集約、納品リードタイムの延長など、物流負荷の小さい発注方法へ切り替える取り組みを支援する。システム改修費のほか、中継輸送を新たに始める場合の初年度の拠点利用料や運行経費なども対象とする。
標準仕様パレットの導入や物流情報標準ガイドラインに準拠したシステム開発・改修も対象に含める。発注量や納品頻度などに応じ商品価格を変える「メニュープライシング」も施策例として示した。荷主側の発注条件そのものを見直し、積載効率の向上や車両稼働の平準化につなげる。
地域や業界をまたいだ共同輸配送、新モーダルシフトを促す「物流効率化集中促進事業」には30億円を要求した。地方自治体や産業団体、複数荷主、物流事業者などが連携して新たな物流ネットワークを構築する際の検討費、資機材購入費、運行費などを支援し、復路の荷量確保も含めた中・長距離輸送の効率化を図る。
CLO連携やラストマイルも支援
荷主・物流事業者・消費者の行動変容には4.25億円を要求する。CLO(物流統括管理者)が主体となり、複数の荷主や物流事業者間で生産、在庫、配送などのデータを可視化・共有し、物流コストに応じた運賃・商品価格の設定や物量の平準化、配車・運行計画の最適化につなげる。
再配達対策では、置き配サービスの事業者間連携を促す配送データ形式の共通化や、駅・公共施設などへの宅配ロッカーの活用を支援する。ラストマイル配送の維持には1.75億円を要求し、地域の受取拠点整備や貨客混載、共同配送、ドローンなどを活用する取り組みを対象とする。
中小物流事業者の生産性向上では30億円の内数を要求した。テールゲートリフターやトラック搭載クレーンなどの導入、標準仕様パレットの利用など、機械化・自動化・省人化・デジタル化・標準化を支援する。
自動運転トラックに18億円
高速道路でのレベル4自動運転トラックの実装加速には18億円を要求した。悪条件での走行やトラブル発生時の対応を検証するとともに、有人運転と無人運転を円滑に切り替えられる高速道路直結型の物流拠点、運行管理システムの構築・検証などを進める。自動運転サービスを検討するコンソーシアムによるビジネスモデルの検討や実証、安全運行に必要なシステム開発も支援対象とする。
物流を支える道路ネットワークの整備には5346億円を要求し、前年度比1.59倍とした。三大都市圏環状道路の整備やトラック輸送と空港・港湾との接続強化、ダブル連結トラックによる省人化、高速道路のSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)での大型車駐車マス不足の解消などを進める。
石油依存低減に15億円新設
経済安全保障への対応では「物流事業者のエネルギー確保手段の多元化強靱化による経済安保対応強化事業」を新設し、15億円を要求した。中東情勢を踏まえ、物流分野の石油依存リスクを低減する狙いで、集配拠点や倉庫、トラックターミナルなどへの太陽光、水素、バイオマス関連設備の導入を支援する。環境性能の高いディーゼルトラックやエコタイヤなど、燃費効率化につながる設備も対象とする。
次世代型倉庫、DXに30億円の内数
次世代型倉庫の導入促進には37億円の内数を要求した。うち物流施設のDX推進実証に30億円の内数を充て、自社で保有・使用する物流施設でのシステム構築・連携や、自動化・機械化機器の導入費を支援する。特に港湾周辺でAI(人工知能)やIoTを活用し、庫内作業の自動化・機械化などで保管機能を高度化した物流施設を重点的に支援する。
災害時の物流拠点機能強化には6億円を要求し、非常用電源設備の導入や自治体と物流事業者が連携する物資輸送訓練を支援する。別途、物流効率化法に基づく認定事業を対象に、物流拠点や物流DX・GX関連設備の整備、中継輸送を支援する財政投融資として239億円を要求した。
港湾分野では、国際コンテナ戦略港湾の機能強化と港湾ロジスティクスに1195億円を要求し、前年度比1.79倍とした。国際基幹航路の維持・拡大に加え、港湾荷役の自動化・遠隔操作化、サイバー・フィジカル両面での強靱化、人材確保などを一体的に進める。
災害時の物流・人流確保にも5855億円を要求した。高規格道路の未整備区間の整備や4車線化、道路のダブルネットワーク化、港湾での緊急物資受け入れ体制などを強化する。今回の概算要求では、荷主の発注行動の見直しから中継輸送、自動運転、倉庫自動化、エネルギー確保までを対象とし、物流の供給力確保に向けた施策を幅広く盛り込んだ。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。



























