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米リープラボ、AIエージェントの活用例紹介も

セイノー・三菱倉庫・佐川、共創3件の進捗報告

2026年10月9日 (金)

ロジスティクス東京都の「TIB CATAPULT」に採択された物流共創クラスター「Tokyo Logistics Co-Creation Cluster」(TLCC)は9日、東京・丸の内で「中間DEMO DAY」を開いた。車両点検、倉庫作業、観光土産の3分野で大手物流企業とスタートアップの共創3件が実証の進捗を報告し、米リープラボはAI(人工知能)エージェントの活用例を紹介した。

▲構成企業やスタートアップが集まった会場の様子

課題の言語化から始まる共創

TLCCは、物流領域で世界のデファクトスタンダードを生み出すことをミッションに掲げる。冒頭のクラスター紹介では、スタートアップとの協業が実証実験(PoC)で終わってしまう状況を、この事業を通じて突破したいとの考えが示された。

中核となるのが、オープンイノベーションプログラム「LOAD」(ロード)だ。構成企業が業界や自社の課題を「大テーマ」として言語化し、それに合うスタートアップを公募してマッチングする。第1弾は2025年12月に始まり、26年3月のワークショップを経て、各プロジェクトが半年ほど取り組みを進めてきた。

点検の起点を「人」から「データ」へ

セイノーホールディングスとデンソー発のスタートアップMobirta(モビルタ、名古屋市昭和区)は、車両の日常点検に取り組む。現状の点検は点検ハンマーと目視が中心で、手間がかかり、判断にばらつきが出る。点検結果が分析に生かされていないことも課題だという。

▲日常点検のデータ化を説明するセイノーホールディングスの浅井花菜氏

Mobirtaはタイヤにセンサーを付けて空気圧を測り、対応が必要な車両を自動で抽出する。メーカーや車種を問わず、1つの画面で管理できる。26年10月中旬から11月初めをめどに、セイノーグループのトラックと軽バンで実証を始め、27年3月まで続ける。システムを付けた車両と付けていない車両を比べ、燃費やタイヤ寿命への効果を数値で示す計画だ。その後は東海エリアから全国へ広げ、協力会社などへの提供も見据える。

▲Mobirtaの田島昇一氏

セイノーホールディングス オープンイノベーション推進室の浅井花菜氏は、取り組む理由を問われ「公道を使わせていただいている上で、安全というものがどうしても欠かせない業態」と述べた。ドライバーが毎日10分弱かけて行う点検を、継続的な仕組みで支えたいという。

「熟練者の目をロボットへ」

三菱倉庫と東京大学発のQuark(クオーク、東京都渋谷区)は、倉庫内の流通加工を対象とする。商品の良否判定は目視に頼っており、記録もアナログなため、判断がデータとして残らない。Quarkの坪井祐太氏は、この状態ではロボットを入れても動かせないと指摘した。

▲流通加工のデータ化を語るQuarkの坪井祐太氏

両社はまず、人の判断をその場で記録し、帳票作成をAIで自動化する。あわせて、目視による判断をAIで再現する取り組みも進める。3カ月の検証で必要なロボットの要件を数値で固め、27年度までに導入段階に入ることを目指す。三菱倉庫デジタルIT部の林智之氏は、現場の課題を明確にできたことが推進のきっかけになったと振り返った。

▲三菱倉庫の林智之氏

持ち帰れないものをなくす

佐川急便と長野県の地元カンパニーが着目したのは、観光地での「買い控え」だ。ブドウや日本酒のように重くかさばる土産は、持ち帰りにくい。地元カンパニーの「あと配土産」は、QRコード入りの小箱を店頭で買い、帰宅後などに住所を登録すると商品が届く仕組みだ。

沖縄での実証では、パイナップルとマンゴーを扱って1か月で20個が売れた。発表では、名古屋のみそかつ店「矢場とん」で導入した当初も月60個ほどだったと紹介された。今後は、佐川のドライバーがメーカーや土産店を開拓していく。両社は発表の最後に、「物流と地域の掛け算で、持ち帰れないものをなくす」と掲げた。

間接業務を担うAIエージェント

基調講演には、TLCCが支援する米シリコンバレーのリープラボから、創業者兼CEOの鈴木智之氏が登壇した。紹介したのは、国際物流のフォワーディング業務に向けたAIエージェントの活用例だ。

▲AIエージェントの活用例を交えて講演する鈴木智之氏

画面では配送状況の問い合わせ対応を取り上げた。社内システムでの照合から船会社サイトでの追跡、返信文の作成までをAIが自律的に処理し、人は承認するだけで済む。ベテランでも10分強かかる作業が、20秒ほどで終わるという。鈴木氏は、人が指示して使うチャット型のAIに比べ、AIエージェントは「手足が生えた」ものだと説明した。物流会社ではまず間接業務の多くを代替できるとし、ロジスティード(東京都中央区)とは見積もり依頼への対応からPoCを進めていると紹介した。

LOAD第2弾の採択が決定

第2弾の採択は、10月2日に決まった。上組、住友倉庫、日本郵政キャピタル、日本GLP、MOL PLUS、ロジスティードの6社が参加する。各社と連携するスタートアップや取り組みの内容は、今後発表していく。

第2弾は今後、ワークショップを経て6カ月のインキュベーションに入り、27年5月に成果報告の場を開く考えだ。点検、倉庫作業、土産の流通と、第1弾の3件はそれぞれ実装に向けた計画を示した。第2弾も、ここから本格的に動き出す。

【問い合わせ先・関連リンク】
Tokyo Logistics Co-Creation Cluster(TLCC):https://tibcatapult-tlcc.eiicon.net/Tokyo Innovation Base:https://tib.metro.tokyo.lg.jp/

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