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ローソン・SGHD提携会見「完全にニーズが合致」

2015年4月8日 (水)
▲玉塚氏(左から2人目)、町田氏(中央)、野辺氏(右から2人目)

▲玉塚氏(左から2人目)、町田氏(中央)、野辺氏(右から2人目)

話題ローソンとSGホールディングスは7日、共同事業会社「SGローソン」を設立し、ローソンの店舗の一部を宅配・御用聞き拠点として運営していくことを発表した。

ローソンの玉塚元一社長は「SGホールディングスとの提携協議は半年前から始めていた。マチ・消費者に新しいサービスを提供するため、リアル店舗と物流を組み合わせたオープンプラットフォーム戦略として展開していく」と述べ、11月に構想を発表したタイミング前後からSGホールディングスとの提携協議に入っていたことを明かした。

共同事業会社の出資比率はローソンが51%、SGホールディングスが49%で、店舗の一部を物流ハブ店舗として運営し、半径500メートル以内の配送をカバーする。

玉塚社長はこの取り組みの意義について「買い物困難者の増加など消費環境の変化に対応する取り組みだ。小商圏型ネイバーフッドストアとして24時間頼りになる街のインフラを構築していく。オープンプラットフォーム戦略を強化するということだ」と説明。ローソンの商品とほかの事業者の荷物を宅配することで、地域に根ざした小商圏配送・御用聞きの基盤を確立する考えを示した。

年内に物流ハブ店舗を100店舗展開し、2016年中に500店舗、17年には1000店舗まで広げ、そのタイミングでECと宅配による売上として5000億円を目指す。

SGホールディングスの町田公志社長は、ローソンとの共同事業を開始する背景として「高齢化への対応は社会的な課題。消費者の生活スタイルは変遷しており、EC市場は2020年に25兆円へ拡大するとみられている」と語り、EC市場の拡大に伴う宅配需要の取り込みを念頭に置いた取り組みであることを説明。

併せて、「女性の活躍を推進していくことを考えており、事業収入の30%を女性労働力でまかなっていく」と述べ、将来的には1万人の助成による「宅配メイト」を目指す考えを示した。

さらに、ローソンと提携する意味について「当社(佐川急便)の宅配シェアは拡大傾向にあり、これを加速するために地域密着インフラの構築を検討した。宅配事業は不在・再配達への対応が課題であり、利便性の高いコンビニが最も地域に密着していることを考えあわせた」と話し、店舗を受け取り拠点とすることで、不在配達となった後の顧客の利便性を高めていく効果を強調した。

ローソンとSGHDが提携、新会社「SGローソン」設立共同事業会社のSGローソンと佐川急便との役割分担については「新会社が半径500メートル以内の配送ネットワークを構築し、個人宅の困りごとにも対応していくが、佐川のドライバーが御用聞きをするわけではない」と説明し、御用聞きなどの取り組みは佐川急便のセールスドライバーでなく、新会社の専任配送担当者が受け持つと説明した。

SGローソンの社長に内定している野辺一也氏(ローソン執行役員)は「新会社は店の外に出て、お届け・御用聞き・お取り寄せといった多機能を模索する。近所に頼れる店が減っており、小商圏に特化する」と語り、「ラストワンマイル」からさらに踏み込んで「半径500メートル」の「モノの移動」を担っていく考え。

具体的なサービスについては「今の高齢者はITリテラシーを持ち合わせているものの、自分たちでECを使いこなしていくには個人情報を入力していくことへの抵抗感などがハードルになっている。これに対するサービスが取寄せ機能。また、家事代行・ライフサービス、設置取り付けのニーズも見込んでおり、小商圏で多機能なサービスを展開していく。具体的には、半径500メートル以内の軽貨物をターゲットに、ローソンのFCオーナーから委託を受けて弁当なども届けられるようにする」と述べ、高齢化が進む地域社会に密着することで、宅配にとどまらない需要があるとした。

運営体制については「タブレットをサポーター(専任配送担当者)に持たせ、専用カスタマーセンターから直接、情報が現地のサポーターに届く仕組みを構築し、顧客に不安を感じさせない体制を整える。これらのシステムは今後、さらに深化させることができると考えている。例えば、受注・レシート発行・ポイント付与など」と説明した。

玉塚元一社長、SGホールディングスの町田公志社長、両社の共同事業会社として6月に設立されるSGローソンの社長に内定している野辺一也氏による会見の主な質疑は次の通り。

■記者会見の主な質疑
――サービスにかかる手数料は。
「手数料はかからない。すべて無料だ」

――加盟店の売上への影響はないのか。
「新たな取り組みは来店動機となる。アマゾンを利用する顧客の4割から5割は夜の時間に買い物をしている。店舗スペースも使用するため、使用料をもらうことになる」

――商品の宅配に乗り出すことの重要性を説明してほしい。また、この先の展開は。
「成長チャネルは宅配とeコマースだ。日本は高齢化が進み、宅配事業者は忙しくなっている。完全にニーズに合致している。コンビニは地域に根ざしている存在で、既に地方で同様の取り組みを実施しているオーナーもいる。配送の採算性が問題だが、ビジネスとして成立可能なプラットフォームが必要だ。佐川急便にはベースカーゴがある」

――即日配送も行うのか。
「今回のポイントはスピードではない。買い物に困っている人に対し、顔が見えて頼れるサービスというのがポイントだ。配送だけのビジネスではない」

――互いを選んだポイントは。
SG・町田氏「2014年11月から実験していたが、その際に『もっとできる』と思った。B2Cを補完するものとして、より細やかなサービスが必要と考え、コンビニとの提携が適していると思った」

ローソン・玉塚氏「スピード・理念の共有。現場のスピード感と力だ」

――どれくらいの注文を想定しているのか。
「店舗の売上に貢献できるよう、モニタリングしていく」

――ほかのコンビニとの連携は考えているのか。
玉塚氏「ヘルスケアローソンなど、まだ出店の余地がある。ポプラに出資するなど今後も規模は追求するが、バランス・中身が大事だ」

――ローソンが使う佐川急便のノウハウは。
玉塚氏「時間あたりの生産性が重要だ。ルート組みを含めてノウハウは必要」

――個人宅への宅配イメージは。
玉塚氏「佐川急便の荷主が委託する際、基本は通常便で配送するが、エリア内は佐川からの受託荷物として配達する」

町田氏「配送責任は佐川急便が負うが、ラストワンマイルをSGローソンが負うケースは出てくる。すべての宅配荷物がローソンの店舗拠点から出るわけではない」

――ローソンは提携している日本郵政との棲み分けをどう考えているのか。
玉塚氏「郵政との提携は多面的なものだ。JPローソンは現在50店あり、今後も拡大していくが、これらの店舗でもSGローソンのサービスを取り扱う」

――佐川急便の不在持ち戻り率の改善はどの程度か。
町田氏「あまり変わらない。小回りが利くので、持ち戻り後の対応がしやすいメリットがある。地域に溶け込むため、エンドユーザーの生活スタイルが理解できてくると効率がアップする」

――配達面でSGローソンと佐川急便の棲み分けは。
町田氏「代引き・佐川フィナンシャルの取り扱い品など金融商品はまだ検討中だ」