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産学5社、日本酒輸出の流通経路可視化で実証実験

2015年7月6日 (月)

調査・データ流通システム開発センター、日本IBM、凸版印刷、慶應義塾大学SFC研究所、大和コンピューター(大阪府高槻市)の5社は6日、日本酒輸出の流通経路を可視化し、偽造品対策、品質管理、現地消費者との情報共有の拡充手段とする実証実験を10日まで実施すると発表した。

実証実験では、石川県白山市の車多酒造(銘柄「天狗舞」)と富山市の桝田酒造店(銘柄「満寿泉」)の日本酒をタイ・バンコクに輸出し、流通拠点ごとに温度データや位置情報データをクラウド・システムに収集。バンコクで現地の消費者と日本酒、酒造メーカーをソーシャル・ネットワークでつなぎ、評判分析や新たな食文化の開拓などに生かす。

日本酒への関心が国際的に高まる中、ブランド価値の維持や向上を図る酒造メーカーにとって、国際物流における非正規流通や偽造品の登場は「食の安心・安全」に及ぶ脅威として社会問題となっていることから、生産段階での情報、流通経路、温度管理の情報を、消費者、流通業者、生産者のすべてが管理できるように可視化し、海外で販売を拡充する仕組みが求められていた。

今回の実験では、キャップに新たに開発したRFIDタグを付けた日本酒を酒造メーカーからバンコクに向けて出荷。流通拠点ごとに収集した温度データや位置情報データなどのトレーサビリティ情報を集め、PC、携帯端末、スマートフォンなどから閲覧できるようにする。

また、RFIDタグには、破損した際の破損記録を保持できる機能を付与しているため、流通過程で不正な開栓を記録し、品質の保証を確保する。

トレーサビリティ・システムの基盤としてIBMのクラウド・サービス「Soft Layer」上で構築する。トレーサビリティ・システムには、GS1国際標準のEPCやEPCISを活用し、モノを個体識別してその場所と状況を共通のフォーマットでクラウド上に保存することで、さまざまなアプリケーションからデータを利活用できるようにする。

凸版印刷は、酒瓶の金属製キャップ部に貼り付けても通信が可能で、システムでキャップの開封・未開封をセンシングできる機能をもったRFIDタグラベルの開発・製造を担当。慶應義塾大学SFC研究所は、モノのインターネット(IoT)に関する研究組織であるAuto-IDラボが今回のプロジェクトでEPCISの開発、酒造メーカーで出荷支援システムの研究開発を担当している。

また、大和コンピューターは、プロジェクトのトレーサビリティ・システムの構築を担当。ハンディ・ターミナルで電子タグを読み、流通過程の情報をEPCISへ更新するほか、凸版印刷の酒瓶のRFIDタグを読み、キャップの開封・未開封を確認してEPCISのデータを更新。流通過程のトレース情報、キャップの開封・未開封の確認をブラウザで確認できるようにする。