新日鉄住金、貨物倉の腐食を低減する厚鋼板初適用

荷主新日鉄住金は4日、同社が開発した石炭を積載する貨物倉の腐食を大幅に低減する高耐食性厚鋼板「NSGP-3」が、今治造船傘下の多度津造船で建造されたばら積み貨物船「プレンパレ」（載貨重量トン数8万1600トン）」に初めて採用されたと発表した。3日に同造船所で引き渡しが行われた。

貨物倉に使用される鋼板には腐食分を想定した厚みの板を採用することが国際船級協会連合（IACS）の規則に定められ、塗装による防食措置といった手段を講じる場合もある。

しかし、局所的に腐食減耗量が腐食予備厚を上回った場合に鋼板の交換が必要となるケースや、積荷・荷役装置との接触によって塗装が剥（はく）離し、腐食が進展するなど、鋼板の切替えや塗装の塗り直しが発生する場合があり、これが、船舶の維持管理費を増大させる一因となっている。

同社は2007年に原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-1」を世界で初めて開発・実用化し、14年には、原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-2」でタンク天井部用として船級承認を取得。これまでの知見をもとに添加する合金元素の種類と添加量の最適化を図り、貨物倉の腐食を大幅に低減することができるNSGP-3を開発した。