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物流システム機器の売上8%減少、人手不足影響

2015年9月4日 (金)

調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)がこのほどまとめた2014年度の物流システム機器生産出荷統計によると、物流システム機器の総売上額は13年度の3781億200万円から8%減って3479億1200万円となった。また、売上件数も13年度の12万5430件から11万2291件へと減少した。

▲売上総額の推移(出所:日本ロジスティクスシステム協会)

この結果に対し、JILSでは「労働力不足による着工の遅れや消費増税前のかけ込み需要の揺り戻しなどがその要因のひとつ」として、物流施設の建設計画が人手不足などによって先送りされていることから、物流システム機器の導入が伸び悩んでいるとの見方を示した。

このうち海外向けは3.6%減少し、クリーンルーム向けも10.3%の減少となった。業種別に見ると、「電機・精密機器」に対する売上の比率が、依然として高水準となっている。

売上高ベースで出荷調査の85%程度に相当する企業の回答を得た受注調査では、2014年度の受注金額が4083億円と大きく増加しており、「15年度の売上金額は増加する」と予測した。

物流システム機器の機種別動向
■自動倉庫の売上15.5%減少、クリーンルーム向け伸び悩み
自動倉庫全体の売上金額は前年度の853億500万円から721億100万円へと15.5%減少した。

パレット用自動倉庫(ユニット式)の売上額は363億3100万円から409億1800万円へと12.6%増加したが、クリーンルーム向けが好調だった前年度からの反動で324億8300万円から246億2100万円へと24.2%減少する結果となった。基数(パレット数)は129万5000パレットから136万4000パレットへと5.3%増加した。

■台車系、堅調な伸びキープ
台車系は09年度に大幅に減少したが、10年度以降は毎年、売上金額が増加している。14年度も620億4900万円から639億3800万円へと3%の増加となった。基数は4418台から4902台に11%増加した。

機種別では、天井走行台車が454億5100万円から454億8800万円、有軌道台車システムが102億3600万円から119億9000万円、無軌道台車システムが63億6200万円から64億6000万円へと、すべての機種で増加した。

■コンベヤ系は減少に転じる
コンベヤ系は10年度以降、4年連続で増加を続けていたが、14年度の売上高は970億6800万円から821億400万円へと15.4%減少した。

パレット搬送用コンベヤが416億3400万円から371億9000万円(10.7%減)、ケース搬送用コンベヤが437億600万円から372億7400万円(14.7%減)、ハンガー式コンベヤが117億2800万円から76億4000万円(34.9%減)とすべての機種で減少する結果となった。

コンベヤ系はクリーンルーム向けの売上金額の割合が小さく、大勢には影響を与えないが、クリーンルーム向けの売上金額も131億4900万円から63億円へと半減した。

■仕分け機、販売数2.6倍増も金額ベースで13.5%減
物流システム機器の中では好不況の影響が比較的少ないが、14年度は5.2%減の277億7600万円となった。

仕分機は217億2100万円から187億8500万円へと13.5%減少したが、基数は2.6倍増の2721台と大きく増加。デジタルピッキング表示器は71億7700万円から84億4600万円へと17.7%伸びた。

■移動棚、電動・手動式ともに減少
回転棚・移動棚は149億8200万円から138億2600万円へと7.7%減少した。売上額の86.8%を移動棚が占めた。移動棚の売上は電動式が81億9200万円から76億1200万円へと7.1%減少、手動式も50億1600万円から43億9400万円へ12.4%減った。回転棚の垂直式は10億1200万円から6億4400万円へと36.4%の減少。水平式は7億6200万円から11億7600万円へと54.3%の伸びとなった。

■重量棚の売上14%増
棚は重量棚、中軽量棚、流動棚を合わせて308億8000万円へと0.5%の微増となった。中軽量棚、流動棚が減少するなか、重量棚の売上額は78億8100万円から89億8400万円へと14%増加した。

■パレタイザ・デパレタイザ、長期安定傾向崩れる
パレタイザ・デパレタイザは09年度の一時的減少を除くと、景気の影響を大きく受けず長期的に安定的な水準を維持しているが、14年度は116億3200万円から103億4100万円へと11.1%減少している。基数では1144台から1129台とほぼ横ばい(1.3%減)となった。

■垂直搬送機、ケース・ピース搬送用が大幅減
垂直搬送機は98億1300万円から94億5400万円へとやや減少(3.7%減)した。パレット搬送用垂直搬送機が79億2700万円から82億5000万円へと4.1%増加したものの、ケース・ピース搬送用垂直搬送機は18億8600万円から12億400万円へと大きく減少(36.2%減)した。

ケース・ピース搬送用垂直搬送機の出荷先は、「電機・精密機器」「食品・医薬など」向けで過半を占め、パレット搬送用垂直搬送機は倉庫・運輸が4割程度(39.2%)となった。

▲総売上額の推移(機種別、出所:日本ロジスティクスシステム協会)

▲総売上額の推移(機種別、出所:日本ロジスティクスシステム協会)