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三井造船、天然ガスハイドレートに陸上輸送の可能性確認

2010年4月20日 (火)

環境・CSR三井造船は4月20日、中国電力と共同で進めていた天然ガスハイドレート(NGH)の製造、配送、利用設備の開発・実証研究が完了したと発表した。

 

NGHは、日本近海の海底に大量の埋蔵量が確認されているメタンハイドレートの性質に着目し、人工的に天然ガスを固体化したもので、天然ガスが水分子の中に包蔵された固体状のNGHは、-162℃の極低温で製造・輸送・貯蔵を行う液化天然ガス(LNG)方式に比べ、常温付近で製造が可能な上、大気圧下で約-20℃という穏やかな条件で安定する特性を持つことから、設備全体を簡便にすることが期待されている。

 

実証研究の結果、三井造船では「NGHによる天然ガス輸送の可能性が確認された」と強調。実証成果を踏まえ、並行して実施しているNGH製造プラントの大型化、NGH輸送船開発などを進めることで、海外の多数の中小ガス田から需要地へ向け、天然ガスをNGHで輸送する「新しい天然ガスのサプライチェーン」の実用化を目指す。

 

実証研究では、液化天然ガスを燃料として使用する中国電力柳井発電所(山口県柳井市)にNGH製造試験設備を設置し、製造したNGHペレットを、ローリー車などで同社エネルギア総合研究所(広島県東広島市)、広島ガス技術研究所(広島県海田町)に設置した需要試験設備まで輸送し、利用することにより、NGH陸上輸送チェーンの実証を行った。実験は06年から4年間かけて実施した。

 

この研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構から両社が共同研究として受託したもので、三井造船では「NGHを製造し、需要試験設備まで輸送、再ガス化して、利用する一連の実証は、今回が世界初の試み」としている。