ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

一五不動産情報サービス調べ

物流施設賃貸市場、東京圏の需給バランス均衡

2015年11月30日 (月)

調査・データ一五不動産情報サービス(東京都墨田区)が30日に発表した10月末時点の物流施設賃貸マーケット調査レポートによると、東京圏の空室率は2.2%で、前期の2.3%からわずかに下落したものの、均衡した需給バランスとなった。募集賃料は坪3990円で前期からほぼ横ばい。

関西圏の空室率は2.3%で、前期の1.2%から上昇し、募集賃料は3500円と前期の3560円からやや下落した。関西圏の募集賃料のマイナスは10四半期ぶり。

東京圏の10月の東京圏の空室率は2.2%で7月調査時点から0.1ポイントとわずかに低下。8-10月の新規供給は40.7万平方メートルで新規需要の40.9万平方メートルとほぼ均衡した需給バランスとなった。

GLPが国内最大規模の大型物流施設「GLP流山I-III」の開発を発表したほか、大和ハウス工業も「Dプロジェクト流山A-C棟」の開発計画があり、総延床面積は40万平方メートルとなる。このほか、千葉ニュータウン(千葉県印西市)でグッドマンビジネスパークやプロロジスパーク千葉ニュータウンの開発計画があり、沼南中央土地区画整理事業(千葉県柏市)でも新規開発が集中していることから「千葉県の内陸部では今後数年にわたり、新たな物流基地が次々と誕生しそうだ」(一五不動産情報サービス)。

募集賃料は坪4000円から3990円へと10円(マイナス0.3%)の下落となっており、4000円前後で一進一退が続いている。

こうした賃料動向について、同社は「東京圏では新規開発が盛んな一方で需要サイドも堅調に推移していることから、足下の需給環境は均衡しているが、今後の新規供給ボリュームを考慮すると、空室率は緩やかに上昇しそう」と、徐々に空室率が上昇すると予測。

さらに、「物流適地が広域化していることを踏まえると、東京圏全体の募集賃料は上値が重い展開が続く」との見方を示した。

関西圏は空室率が2.3%となり、7月時点の1.2%から1.1ポイント上昇した。8-10月の新規供給13.7万平方メートルに対し、新規需要は10.1万平方メートルで、3四半期ぶりの需給緩和となった。

「GLP鳴尾浜」が9月に竣工し、ヤマトロジスティクスなど5社で70%が契約済みとなっているが、既存のマルチテナント型物流施設の一部で空室増となったことが空室率の上昇につながった。

募集賃料は坪3500円で、前期の3560円から60円(マイナス1.7%)の下落となった。

関西圏の募集賃料は13年4月の3150円を底に2年以上上昇基調が続いていたが、今期は10四半期ぶりにマイナスに転じた。こうした状況について、同社は「すでに高水準の募集賃料となっていることを考慮すると、関西圏の募集賃料も上値が重い展開になる」とみている。