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船主協会、2015年海運界重大ニュースを発表

2015年12月17日 (木)

ロジスティクス日本船主協会は16日、「2015年海運界重大ニュース」を発表した。詳細は次の通り。

■海事産業界が協力してPR活動を展開「『海でつながるプロジェクト』や学校教育関連で第一歩」
海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う「海の日」が第20回を迎えた機会を捉え、政府、海事団体、地方自治体が連携し、「海でつながるプロジェクト」として「IMO世界海の日パラレルイベント」をはじめ全国各地で海をテーマとした多彩なイベントを開催した。日本船主協会も参画し、広く一般の人に海運を身近に感じてもらうことを目的に商船の乗船見学会などを各地で実施した。また、学校教育の中で海事産業の重要性扱われるよう、学習指導要領への反映を海事関係7団体で文部科学大臣に要望するとともに、海事都市を中心とした各地で海事産業を取りあげる授業の実施を働きかけた。

■「新外航海運政策の早期実現に向けた提言」を公表
日本船主協会は、日本海事センターや学識経験者などの関係者の協力を得て「新外航海運政策の早期実現に向けた提言」を取り纏め7月に公表した。提言では、「外航海運の重要性や特徴、諸外国の海運政策の考え方など、世界の現実・動向を十分に加味した上で、外航海運を国家戦略産業として位置づけ、日本国外航海運産業、日本商船隊の国際競争力の強化を明確に目的とする国家施策を打ち出していくべき」と訴えている。

国際船舶関連の登録免許税の特例措置はほぼ要望通りの内容で延長・拡充
2016年3月末をもって適用期限を迎える「国際船舶関連の登録免許税の特例措置」、日本船主協会は超党派の国会議員などで構成される海事振興連盟や与野党各党の関連会合などで改善・延長を求めた。その結果、12月16日に発表された与党税制改正大綱で、ほぼ要望通りの内容で2年の延長と対象船舶の拡充が認められた。

■内航海運暫定措置事業の終結に向け環境整備される
内航海運暫定措置事業は、2015年度をもって事業の柱の解撤交付金制度、建造など納付金免除制度が終了し、2016年度以降は、同事業の残債務返済のための建造など納付金制度が、代替建造制度という新たな仕組みを加えた形で発足する。代替建造制度には、高齢化が指摘されている内航船腹の代替建造を促進させることで、内航船腹の環境性能の向上や近代化を図るというコンセプトの下、そのインセンティブを与える仕組みが講じられている。2016年度以降の暫定措置事業具体的運用細目の決定で、2024年度を目途とする暫定措置事業の終結に向けた環境が整備された。

■新スエズ運河が開通、パナマ運河では新通航料体系・料金が発表
スエズ運河に並行する新運河は計画どおり1年で完工、8月6日に開通した。一方、7月29日には、ICSなど国際海事団体代表団とスエズ運河庁(SCA)長官との面談が漸く実現(日本船主協会も参加)、SCAからは今後の海運業界との定期対話実施に積極的な姿勢が示された。他方、新閘門の2016年4月開通が期待されるパナマ運河では、同運河庁(ACP)が2016年4月適用の新通航料体系・タリフを4月29日に発表、海運業界の意見が一定程度は勘案された内容となった。

■世界各地での海賊の脅威が続く
アデン湾・ソマリア沖では、日本国自衛隊・海上保安庁による海賊対処行動や各国の活動が奏功し、海賊発生件数は2013年以降減少しているものの、依然として不審船情報など海賊の脅威は存在している。日本は7月に海賊対処要項を1年延長したほか、EUNAVFOR、NATO軍も2016年末までの活動を決定している。また、東南アジアや西アフリカでも、依然として海賊事件が発生し、船舶の航行を脅かしている。日本船主協会、国際船員労務協会は10月に5回目となるジブチへの訪問団を派遣し、海賊対処活動に従事する関係者の方々へ謝意を表明した。

■温室効果ガス削減のための新たな枠組みを合意
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の「第21回締約国会議」(COP21)は、GHG削減に取り組む新たな法的枠組みである「パリ協定」を12月12日に採択した。国際海運は新たな取り決めは無く、事実上これまでどおりIMO(国際海事機関)でGHG削減対策が検討されていくことになった。また、長期資金問題では、海運を含む国際交通分野への言及は無かったものの、途上国支援のための資金拠出(年間1000億ドル)を積み増す方向性が合意された。

外国人船員承認制度が拡充
2010年度「成長戦略船員資格検討会」で取りまとめられた日本籍船に乗船する外国人船員承認制度の規制緩和措置に基づき、資格、承認証取得要領の改善が図られた。これまで機関承認校としての認定を受けていたフィリピン6校、インド3校に加えて、日本船主協会から要望していた東欧3か国(クロアチア、ブルガリア、ルーマニア)4校に対して、機関承認制度が導入された。また、承認試験に代わる船長による実務能力確認制度に関しては、1か月コースの対象国が新たにイギリス、ベトナムへも拡大され、新たにBSM社(Bernhard Schulte Shipmanagement社)が対象会社として認定された。このほか本年5月のフィリピンでの民間審査時から三級海技士(電子通信)の失効再交付講習が開始された。

水先制度改善に向け、公的な検討会による審議開始
ことし4月、国土交通省は日本船主協会の申し入れを受けて水先人人材確保・育成など検討会を設置し、水先人の人材確保、安全対策を含む水先に関する重要な項目、これまで三回に亘って検討を行っている。同検討会では、短期的対策と中長期的対策に分けて検討を行っており、先ずは短期的対策である内海水先区、中小水先区の後継者確保問題2016年3月に中間とりまとめを行う。更に中長期的な課題である引受法人導入に向けては並行的に必要な検討を続けていく。