行政・団体国土交通省は25日、社会資本整備審議会と交通政策審議会に諮問していた今後の物流政策の基本的な方向性に関する答申を受けたと発表した。「危機を乗り越え、自ら変わる、日本を変える」をコンセプトに、新しい物流像の確立に向けて「物流生産革命」と「未来に輝く物流の進化」を掲げた。
両審議会は4月から合同会議で審議を重ね、特に物流分野の労働力不足の深刻化が「社会経済活動の大きなボトルネックとなりかねない、極めて深刻な問題」だと認識。
物流事業者の自己改革が欠かせないという見方に加え、「これからの危機は、社会構造や産業構造の変化に起因する課題や物流事業者の如何ともし難い物理的制約などに左右される課題に由来するものも多(い)」との考えに立ち、「物流生産革命」と「未来に輝く物流の進化」を併せて進めることで、激しい時代の変化に対応した「物流の目指すべき将来像」を示した。
具体的な施策としては、まず物流生産性革命の実現につながるものとして、潜在的輸送力の発揮と物流フロンティアへの挑戦に向けた項目を設定。(1)モーダルシフトのさらなる推進(2)トラック輸送のさらなる効率化(3)物流ネットワークの拠点高度化(4)港湾・鉄道など既存インフラのストック効果の一層の発現(5)過疎地域などにおける物流ネットワークの構築(6)物流の高度情報化・自動化(7)都市内物流マネジメント(8)消費者との対話を通じたライフスタイルの変革(9)海外展開をはじめとする新たな市場の開拓――の9分野を示した。
また、未来へ続く魅力的な物流への進化につながる施策としては、(1)就業環境の改善と定着率の向上(2)業界イメージ・物流そのもののイメージの改善(3)人材の確保・育成(4)地球環境対策への貢献(5)災害対応力の強化など安全・安心の確保への貢献(6)活力ある地域づくりへの貢献――の6分野を提示し、これらの取り組みによる将来像の実現に向け、新たな連携を構築しつつ、先進的技術を活用していく必要性に触れた。
具体的な施策例(出所:国土交通省)
■「ITを活用した賢い物流管理」
■「低床貨車の実用化による背高コンテナの鉄道輸送可能区間の拡大」
■「公共交通事業者の輸送力を活用した貨客混載サービスの共同化・複合化」