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三菱重工、米国にガスタービンのローター工場新設

2011年12月14日 (水)

拠点・施設三菱重工業は14日、米国ジョージア州サバンナにガスタービンの中核部品であるローター加工工場を建設すると発表した。2012年前半に着工し、13年秋に竣工する。同じ敷地内で先行した燃焼器、ローター・サービス、ガスタービン組立の工場建設に続くもので、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備の需要拡大が見込まれる北米で、為替変動を回避しつつ原動機事業の拡大を図る狙い。

 

ローター加工工場は、サバンナ工場敷地(約40万平方メートル)内の他工場と同様、同社の原動機事業の米国拠点「三菱パワーシステム・アメリカズ社」(MPSA、フロリダ州)が建設・運営する。建屋面積は約6500平方メートル。

 

新工場は、同社のガスタービン主力製造拠点である高砂製作所(兵庫県高砂市)と同じ専用生産ラインを導入し、ローターの仕上げ加工・最終組立までを一貫で行う。生産能力は年間12台。

 

新工場が竣工・稼動すれば、同社が昨年から取り組んできたガスタービンの世界2極生産体制づくりに一段落つき、日米合わせた生産能力は約50基体制が整う。

 

サバンナ工場では、今春生産を開始したガスタービン燃焼器工場のほか、昨年4月着工のローター・サービス工場、ことし4月着工のガスタービン本体組立工場の建設が進んでいる。今回のローター加工工場建設を含むこれら一連の投資により、同社はガスタービン、蒸気タービンの中核部品の製造や本体の組立、ローターなど大物部品の補修・改良、原子力発電設備のアフターサービスまで、幅広い生産・サービス体制を整える。

 

ローターはガスタービンの中核をなす回転体で、ローター加工工場では、ローター部品の加工を実施し、翼を植えてガスタービン本体の組立工場に送り出す。米国では、老朽化した石炭焚き火力発電所に代わる新たな電源の確保が必要となっており、同国に大量に存在するシェールガスの採掘技術が向上したことに伴う天然ガス価格の低位安定化、再生エネルギー利用の増加による負荷変動対応電源の需要増大などの事情が加わり、GTCCへの関心が急速に高まっている。