ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日本の通関ITが支えるASEAN共同体の貿易円滑化

2016年12月9日 (金)

ロジスティクスASEAN共同体の発足から1年、東南アジアで日本の電子通関システムが貿易円滑化に貢献している。ベトナムで日本のNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)などの通関ITシステムが全国の税関に導入されたのを皮切りに、ミャンマーでも導入支援が進んでいる。

国際協力機構(JICA)のまとめによると、ベトナムでは「VNACCS」「VCIS」と2つの通関ITシステムが、JICAの支援で全国の税関全33官署に導入されている。2007年の世界貿易機関(WTO)加盟以降、同国では外国直接投資が急増し、輸出入申告件数も02年の116万件から10年には416万件へと急増。こうした輸出の急拡大を背景に、輸出入通関手続の効率化が「切望されていた」(JICA)という。

これを実現したのが日本の最先端技術で、ベトナム税関双極からの要請を受け、迅速な通関手続きを可能にした日本独自のNACCSと「通関情報総合判定システム」(CIS)をベトナム版にカスタマイズし、それぞれVNACCS、VCISとして12年3月から導入支援を開始した。

ベトナム企業や現地に進出している日系企業からは効率化を喜ぶ声が寄せられているという。導入に際しては税関分野の既存の法規制、業務プロセスを見直すとともに、新システムの周知、説明、周到な検討・準備が必要だったため、人材育成にかかる技術協力プロジェクトも実施。現在、6万6000の輸出入者が利用し、99%の輸出入申告がVNACCS、VCISを通じて行えるようになった。

ベトナムでのシステム導入支援は、ASEAN諸国の中でも通関制度の整備が大きく出遅れていたミャンマーへとつながり、「MACCS」「MCIS」として導入支援が進められている。ベトナムの導入・運用経験をミャンマー税関関係者に共有するなど、国を超えた学び合いも実施している。