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鉄道シフト進まぬ現地状況に日本のノウハウ導入試み

国交省、日通に委託しインドでコンテナ貨物鉄道実験

2017年1月12日 (木)

話題国土交通省は12日、インドでコンテナ貨物鉄道輸送の利用促進に向けた実証実験を行うと発表した。物流需要が増大しながらも貨物輸送のモーダルシフトが進まない同国の物流事情を踏まえ、日本通運に委託し、共同集荷スキームの構築からこのスキームを活用した定時運行輸送を行い、効果と課題を検証する。

「日本の質の高い物流システムを官民一体となって戦略的に新興国へ展開する」ことを目指す物流パイロット事業の一環として実施するもので、今月20日から26日まで1週間にわたり、貨物列車1編成(80TEU分)を借り切り、定時運行を行う。

今回は初の試みとして20フィートコンテナの一般貨物だけでなく、45フィートコンテナによる完成車の輸送も同じ編成で併結して実施する。デリー発バンガロール向けの運行実験は1月20日0時30分に出発し、22日18時30分にバンガロール着、バンガロール発デリー向けは24日2時バンガロール発、26日18時デリー着のスケジュール。

インドでは、増大する貨物需要に対応するため貨物専用鉄道建設計画(DFC)が進行しているが、貨物鉄道は運行ダイヤが存在せず、定時性がないなどの理由で、荷主はトラック輸送を好み、貨物鉄道が十分に活用されていないのが実情だ。

そこで日本側から貨物鉄道ダイヤの設定をインド鉄道省に働きかけ、昨年6月からデリー・バンガロール間で週1回の定時運行がスタート。7-10日程度かかっていた輸送時間が3日以内に短縮されたものの、その後もトラックからのモーダルシフトが進んでいない。

今回の実証実験では同区間で現行ダイヤに加え、新たな便を追加運行するとともに、日通とインドの物流会社が共同で集荷を行う。進出する日系企業にとっても、物流ニーズに対応した貨物鉄道輸送の効率化は大きな課題となるため、実証事業では定時運行や集荷といったソフト面の取り組みを通じ、インドの貨物鉄道輸送の効率化、利用促進を図る。終了後、実証実験の効果や課題などを具体的に調査・分析し、後日公表する。