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国の検討会資料で明らかに

アスクル火災倉庫、防火シャッターの6割強作動せず

2017年4月12日 (水)

事件・事故アスクルの倉庫火災を受けて国土交通省と消防庁が設置した検討会の2回目となる会合が12日行われた。検討会では、3階建て倉庫のうち特に火の勢いが強かった2階部分と3階部分の図面が示され、実に3分の2の防火シャッターが正常に作動していなかったことが初めてわかった。

消防庁によると、倉庫内には2つの系統の配線があった。一方は「火災による何らかの原因」で感知器に情報を伝送する配線が、他方は防火シャッターが作動するための情報を伝える配線が、いずれもヒューズが溶けるなどしてショート。これにより、正常に作動した防火シャッターは、設置されていたもののうち3分の2程度にとどまったとの見方が示された。

検討会では、2つの系統がともにショートした事態を重くみており、(1)いかにしてショートしないように対策するか(2)ショートした場合にどのようにして影響を最小限に食い止めていくか――を今後の議論の方向性として定めた。

これらの議論や資料は、数多くの防火シャッターが設置されていても、それを動かすための配線が2系統しかなければ、火災発生時に作動しない可能性が高まることを示したものといえる。今後は大規模倉庫に設けられた防火シャッターの数だけでなく、火災などの災害を想定してこれらを適切に機能させる対策が求められることとなろう。

当事者のアスクルは同日、検討会で防火シャッターの3分の2が正常に作動していなかったことを示す資料が明らかになったことについて「発表された資料の内容は認識しているが、調査中のため個別の内容に関するコメントは差し控える。引き続き、警察の捜査、消防庁・国土交通省の調査に全面的に協力していく。また、是正すべき事項については、警察・消防の指導に従い早急に対応をしていく」とのコメントを発表した。