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関東西部運輸、違法残業改善せず再び書類送検

2017年11月16日 (木)

事件・事故西部運輸傘下の関東西部運輸(千葉県野田市)と同社の田口哲士社長が15日、柏労働基準監督署(柏市)から千葉地検松戸支部へ書類送検された。容疑は最大で月間183時間の違法残業をさせたというものだが、同社はことし5月にも最大246時間の違法残業をさせたとして送検されており、ことしに入って2度目。

今回の事態を受け、同社は田口社長の名で「度重なる不祥事」への謝罪のコメントを発表。改善できなかった背景として「会社が書類送検された不安で乗務員の退職が続いたことで状況が悪化」し、計画通りに改善が進まなかったと説明した。

5月の送検後、同社は「取引先に労働時間の短縮」などを要請し、従業員の増員に「努力してきた」というが、実際には書類送検から最初の3か月経った8月18日に柏労基署から監査を受けた際、「改善が進んでいない」と指摘されていたことが判明。その後、同社は「自助努力では改善できない」と判断し、取引先に「一部運送契約の解除」を申し出、9月いっぱいで元請け運送会社との契約の一部を打ち切ったとしている。

同社の説明通りだとすれば、書類送検されてもなお、違法な長時間労働を「甘く見ていた」こととなり、こうした会社の姿勢に不安を覚えた乗務員らの離職が続出したことでさらに人手が足りなくなるという悪循環に陥っていた可能性がある。

5月に書類送検された際、親会社の西部運輸(広島県福山市)は「速やかに改善したい」と話していたが、同社を「見限った」ドライバーの流出は歯止めがかかっておらず、関係者の話では「360人程度在籍していたドライバーのうち、これまでに1割に近い人数が同社を離れた」という。

年末の繁忙期を目前に控え、同社は「人員の再配置により応援態勢を組み、一人ひとりの労働時間短縮を実行した」としているが、通年ですべての従業員が労使協定で定めた労働時間を守るためには、さらに踏み込んだ対策が必要になってこよう。