ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

関東西部運輸に事業停止命令、2度の書類送検も改善できず

2018年7月17日 (火)

行政・団体広島県福山市に本社を構える長距離輸送準大手・西部運輸傘下の関東西部運輸(千葉県野田市)に対し、関東運輸局が18日から30日間事業の停止を命じる行政処分に踏み切る方針を固めたことがわかった。事業停止処分の対象は300台近いトラックが所属する同社の本社営業所で、7月18日から8月16日までの30日間は、所属するすべてのトラックを運行させることや、営業行為を行うことができない。

同社は昨年5月、最長で月間246時間の時間外労働を行わせた疑いで千葉地裁松戸支部へ書類送検されたが、その後も違法労働状態が改善されていないとして、11月に再び書類送検される事態を招いていた。

これら2回の書類送検を受け、千葉運輸支局は昨年12月、野田市の同社本社に対して監査を実施。運転者の過労防止措置が不適切で乗務時間基準も守られていないなどとして、事業停止処分の方針を固めた。

親会社の西部運輸は昨年5月に書類送検された後、Logistics Todayの取材に対し「これ以上(違法な労働時間を続けること)は会社の存続問題にもつながりかねないため、適正な水準まで業務量をコントロールしていく」と話していたが、改善できずに2回目の書類送検を受け、さらにその後行われた千葉運輸支局の監査でも違法な運行管理が認定されるに至った。

関東西部運輸は主に大手路線会社の下請けとして、首都圏と関西・中国・九州を結ぶ長距離トラックを運行させる業務が中心で、本社営業所には300台近いトラックが所属していたことから、元請け路線会社ではトラックの手配に支障をきたす可能性があるほか、豪雨被害に伴う物流の混乱に拍車がかかることも懸念される。

長期化する人手不足、トラック不足、豪雨の影響でトラック運送会社の現場は業務負荷が増しているとみられる。違法な業務運営は業界のモラル低下や過当競争につながるおそれもあり、こうした時期こそ適正な経営の舵取りが求められる。事業停止処分中の30日間で適正な業務体制を構築できるのか、関東西部運輸と親会社の西部運輸の今後が注目されている。

◾関連記事

月間時間外労働が最大246時間、関東西部運輸書類送検(2017年5月10日掲載)
https://www.logi-today.com/287836

関東西部運輸、違法残業改善せず再び書類送検(2017年11月16日掲載)
https://www.logi-today.com/304313