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東京ミッドタウンで12日から実証開始

アスクル、館内物流応用した即納モデル発案

2018年7月3日 (火)

ロジスティクスアスクルは3日、顧客(配達先)が多く集まるオフィスビルなどで館内物流を導入している施設を対象に、館内物流事業者と組んで自社製品を一時保管するスペースを確保し、輸送と配送を分離するモデルの実証を12日から開始すると発表した。

佐川急便が館内物流業務を受託している東京ミッドタウン(東京都港区)で、館内配送用の拠点スペースの一部をアスクルが借り受け、当初はA4サイズのコピー用紙に限定し、注文に応じて一時保管したスペースから台車で納品する。納品業務は、ミッドタウンの館内物流業務を受け持つ佐川急便に委託する。

アスクルでは、新たな小口配送モデルの実証実験により、館内物流を導入済みのオフィスビルや域内物流の基盤が整備されている地区などで一時保管スペースを確保し、輸配送の負担を軽減しながら顧客への納品サービスのレベルを高める。

ビックデータを解析して需要予測を立て、注文を受ける前に一定数の商品を通常の都度出荷品と共に事前出荷し、これを配送エリア近隣のスペースに輸送・一時保管、注文に応じて顧客に台車での納品(短距離宅配)を行う。新たなEC物流の輸配送管理システムとして、特許も出願したという。

この取り組みに際し、同社は経済産業省が所管するグレーゾーン解消制度を活用。国土交通省に確認を行った結果、オフィスビルなどの空きスペースを借り受け、同事業で商品を一時保管する行為が、倉庫業法上の登録を要しないことが明確にされたことを受けて開始する。

全国9か所の同社物流センターからの事前出荷には、通常の都度出荷品を積載する車両の空きスペースを活用し、注文量に影響されてしまう輸送車両の積載効率を高め、配送量の平準化による生産性向上を実現。また、注文から納品までのスピードも高める。

納品に車両を用いないことから、同社は「配送ラストワンマイルの担い手を輸配送事業者以外の者にも拡大することを可能にし、宅配の現場負荷を分散させ、配送の労働環境の改善、CO2排出量の削減といった社会的課題の解決にもつながる」と期待を寄せる。

「今後も拡大が見込まれるECの小口配送で、多くの課題を解決する新物流モデル」として活用が進む可能性を感じているともしており、7月から東京を皮切りに一時保管と補充、即納の新配送モデルの実証実験を展開、実証実験結果の検証を進め、段階的にサービスインするエリアを広げていく考えだ。