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日立とニチレイ、IoT活用した冷凍設備故障予測で実証

2018年8月28日 (火)

拠点・施設ニチレイロジグループ本社と日立製作所は28日、冷凍設備の故障予兆診断と運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を9月から開始すると発表した。

▲ニチレイロジグループ船橋物流センターの外観写真(左)と、冷凍設備(右)

共同実証では、日立グループのビッグデータ解析技術や音解析技術、予兆診断技術を組み合わせたシステムを、ニチレイロジグループ船橋物流センター内の冷凍設備に導入。設備の稼働データを収集・蓄積・分析することで、故障の予兆診断と設備運転の効率化を支援する。

具体的には、船橋物流センター内の冷凍設備6台を対象にシステムを導入し、効果を検証する。ニチレイロジグループは、共同実証で得た成果をもとに、2019年度から国内拠点の140か所、870の冷凍設備に同システムの導入を進めていく計画。

冷凍倉庫内にある保管品の品質を維持するために冷凍設備の安定稼働が不可欠だが、現状は熟練技術者が巡回し、倉庫内環境や設備の計器などを目視で確認しながら冷凍設備の運転管理・設定操作を行うほか、設備点検やオーバーホールは定期的に実施するのが一般的となっている。このため、熟練技術者のノウハウ伝承や設備の突発障害回避、消費エネルギーやメンテナンスコストの低減といった課題への解決策が求められている。

こうしたなか、両社は冷凍設備の運用・メンテナンス業務の効率化に向けて、2017年から検討を進め、今回IoT技術を活用した冷凍設備の故障予兆診断と運転・メンテナンスの効率向上を実現するシステムを開発した。

開発したシステムは、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」(ルマーダ)ソリューションコアである統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」(エミリア)をベースに、冷凍設備の各種センサーから収集・分析したビッグデータをクラウド環境に蓄積する。この蓄積データを元に、音解析技術、さらに日立アプライアンスが提供する予兆診断技術を組み合せることで、高精度・早期に故障の予兆を検出する。

また、エネルギー消費の見える化と運用改善分析を行えるため、冷凍設備の高効率運転支援を可能とし、CO2削減による環境負荷低減も実現。さらに、日常の目視点検や事後・定期メンテナンスではなく、故障予兆に基づいた適正なタイミングでの予防保全が可能となるため、メンテナンスも効率化でき、運用・メンテナンスの両業務で熟練技術者不足の課題解決を実現する。

今回、シミュレーションで従来に比べて冷凍設備の運用・メンテナンスに関わるコストを「25%低減」できる見通しを得たことから、実際の物流センターでの共同実証を実施することにした。