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ヤマト過大請求の質疑要旨、社長「重く受け止める」

2018年8月31日 (金)

▲質疑に応じるヤマトホールディングスの山内雅喜社長ら(左から3人目)

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話題ヤマトグループの引越事業で発覚した過大請求問題を受け、ヤマトホールディングスなどが開いた同社の山内雅喜社長、ヤマトホームコンビニエンスの和田誠社長、調査委員会の河合健司委員長による記者会見の主な質疑は次の通り。

■主な質疑
――前回の会見で組織的ではないと話していたが、今回は一部で組織ぐるみだったことを認めた。

山内雅喜・ヤマトホールディングス社長:四国で上長が指示し、上乗せ見積もりが行われていた。倫理意識の欠如、希薄化があったことは間違いなく、大変重く受け止めている。

――昨年は残業代未払いの発覚や27年ぶりの宅配運賃の値上げなどがあった。信頼回復や業績改善にどう取り組んでいくのか。

山内氏:賃金の支払いや料金見直しでお客様に協力していただいた。社会的インフラとして信頼される企業であり続けなければならない。そういうなかで今回のような不適切な事例が発覚したことは重く受け止めなければならない。改めて総点検し、少しでも早く信頼をとり戻せるよう、私が責任を持って再発防止策に取り組む。

――悪意で上乗せした事例というのは水増し請求を指すのだと思うが、組織的な水増しは四国だけなのか。11ある統括支店のうち、悪意で上乗せしていた事案はどこで行われていたのか。

河合健司・調査委員長:全国すべての統括支店で事例がみられた。

――支店長が黙認していた事例というのは、組織ぐるみということではないのか。

山内氏:すべてで直接的な指示、会社が主導していたとは思わないが、黙認していたのは重大な問題だと認識している。四国、九州、東京、関西、東北の5統括支店でこうした事例があった。

――ヒアリングの中で、上司からのプレッシャーを感じて水増し請求したという発言はなかったのか。

河合氏:全部ではないが、西関東統括支店で支店長から「自分が無言のプレッシャーを掛けていたかもしれない」という話があった。

――過大請求のあった支店は何支店か。悪意で上乗せしていた支店は何支店あったのか。

山内氏:128支店中、不適切な請求があったのは123支店だ。

▲山内雅喜社長(中央)

――個人の引越も中止するということだが、業績への影響はどの程度拡大するのか。今期中の再開はあるのか。ヤマトホームコンビニエンスが連結業績に占める割合は小さいが、今後も引越を続けていくということで間違いないのか。

山内氏:具体的な数字の見通しは第2四半期のタイミングで考えている。単身引越しなどの個人向けについては、点検した上で年内、年度内に再開できる部分もあると考えている。引っ越しはホームコンビニエンス事業の中の一商品。ヤマトホームコンビニエンスは大型家具家電のネットワーク、宅急便のサイズを超えるようなもの、ツーマンでセッティングするようなものなど付加サービスのついたものも扱っている。今後、引越がホームコンビニエンス事業のなかで求められること、提供できることなど、サービスのあり方も広く検討したいが、今は引越サービスを早く再開できるよう取り組みたい。

――法人向け引越はコスト割れに近い設計だといえるが、グループとして価格付けが実態に見合わない、競争力がないのに競争力があるように装っていたともいえないか。

山内氏:タイムリー、ジャストという2商品は2008年にスタートしたが、引越専業との価格競争もあった。ヤマトグループとしては幹線ネットワークを持っているのを強みとして、これらの商品をスタートさせた。コストや社会環境などが変化するなか、プライシングも適宜見直すべきだったが、ここの対応が弱かった。

――外部通報によって是正せざるを得ない状況が続いている。内部で、上司が汲み取る体質は望めないのか。

山内氏:内部通報、現場からの情報であるべき形、課題を発見し、自ら対応していけるガバナンスを持つ会社にしていく。ヤマトグループがそれぞれの事業で自分たちの進化、工夫、取り組みを追求していこうという中、横の情報連携、本社と現場のコミュニケーション不足が広がり、後手に回ってしまった。働き方改革として、コミュニケーションのあり方も変えていこうとしている。

――ヤマトホームコンビニエンスが個人向けの引越も休止するというが、ヤマトホームコンビニエンスの中で、これらの占める割合は。

和田誠ヤマトホームコンビニエンス社長:昨年の実績だが会社の売上高は491億円だった。そのなかで法人引越が140億円、個人が100億円だ。