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益田市でドローン輸送実験、荷受者の健康状態確認も

2018年11月22日 (木)

話題エヌ・ティ・ティ・コムウェア(NTTコムウェア、東京都港区)は22日、ドローンクリエイト(島根県益田市)が益田市で26日から開始するドローンとAIを活用した物資輸送の実証実験に協力すると発表した。

ドローンクリエイト、ミツイワ(東京都渋谷区)、セベック(東京都千代田区)、日本UAV利用促進協議会のドローン関連事業者4社・団体がドローンによる物資輸送で、NTTコムウェアが画像認識AI「ディープテクター」で協力して展開し、益田市としまね産業振興財団しまねソフト研究開発センターがフィールド調整や地域の課題抽出などで地元から後押しする。

実証実験の検証と成果により、単に物資輸送に留まらず荷受者の健康状態確認も担うドローン物流システムを構築し、同様課題を有する地域への展開を図る。

実証実験では、発送側で物資をドローンに搭載し、荷受側に物資を輸送。荷受側でのドローンの安全着陸、物資の荷受確認、荷受人の健康状態確認、荷受後のドローンの安全再離陸を、ドローンに搭載したカメラを含むセンサーとクラウド上のAIの連携により実現する。荷受や健康状態のAIによる分析結果は、発送側だけでなく、必要に応じて地域の行政機関・医療機関にも通知される。

検証期間は26日から2019年3月31日とし、航行ルートの確立や安全確認などの予備実験から開始し、実際の物資輸送実験を12月17日から実施する。検証エリアは、益田市安富町の高津川周辺地域をはじめとし、段階的に市内全域へと展開する。高津川周辺地域の物資輸送実験では、総菜類を益田クッキングフーズの製造工場(安富町)から荷受設定場所である自動車教習所「Mランド」(同)まで1.3キロ運搬後、荷受状況、健康状況といった荷受者状態の可視化・異常有無連絡を実施する。

これらを通して、運搬物の積み下ろし簡易化や荷崩れ防止などの搬送品質確認、荷受者の健康状態の判断精度向上を実現し、システムの実用化を目指す。

さらに、生活の質の向上の観点から、「買い物弱者」を支援することを目的に、生活物資の通常配送について地域スーパーマーケットと連携することとしている。

▲実証実験のスケジュール

益田市は、市域南部の大多数が山林地域で、併せて1990年代ころから人口減少・高齢化が進んでいる。こうした中、市内中山間部をはじめとした地域に居住する高齢者・外出困難者に対し、栄養改善・確保を目的とした食事療養食の調理・宅配が実施されている。また、高齢者の中には、一人暮らしや体が不自由なども多くあり、「荷受者の健康状態の確認」も宅配事業の大きな目的の一つとなっている。しかし、現在の当該宅配事業は配達範囲の広さや確認作業の負担から、多大な労力とコストが発生しており、サービスの継続には「安全性と経済性を兼ね備えた新たな仕組みの構築が不可欠」だという。

こうした現状を改善するために、ドローンとAIを活用した、安全・安心・経済的で荷受者の健康状態の確認 機能も併せもつ物流システムを、現場の実状に寄り添いながら実験を通して検証することで、実態に即した地域住民の生活の質の向上に寄与できる仕組みの実現を目指すこととした。