環境・CSR兼松(東京都千代田区)は7月31日、スイスの香料メーカー、dsmフィルメニッヒが開発した、牛のげっぷに含まれるメタンガスを削減するサプリメントを使い、畜産品の環境負荷を軽減する取り組みを同社と共同で開始すると発表した。兼松がサプリメントを配合した飼料を供給し、サプライチェーン全体の環境負荷軽減を目指す。
牛など植物を反芻しながら消化する動物のげっぷには、メタンガス(消化管由来メタン)が含まれており、日本国内の農林水産業では、稲作に続いて2番目に多いメタンガスの排出源となっている。メタンガスはCO2に次いで量の多い温室効果ガス(GHG)だが、CO2より強い温室効果がある。このため、メタンガスの発生の抑制が温暖化対策の重要な課題となっている。
メタンガスは主に石油や石炭、天然ガスの採掘によって地下から放出されるほか、田畑で微生物が有機物を分解する過程でも生成される。畜産物需要の増加にともない、家畜のげっぷに含まれるメタンガスの排出量も増えている。
dsmフィルメニッヒが開発した家畜用のサプリメント「Bovaer」(ボベアー)は、1頭につき1日小さじ4分の1杯の量を継続的に与えることで、乳牛の消化管から出るメタンの量を平均30%削減、肉牛(肥育牛)では平均45%削減できることが確認されている。飼料に簡単に配合でき、牛乳や牛肉の風味や品質には影響を与えない。15年にわたる研究開発を経て製品化されており、日本を含む世界各国の政府・規制当局によって安全性と有効性が承認され、既に70か国で販売が可能になっている。
過去3年間に欧州や米国、ラテンアメリカ、豪州の数百の農場に導入され、現在までにCO2換算で40万トン相当のメタン排出量を削減してきた。日本では現在、Jクレジット(排出権)の登録準備を進めている。
両社は、協業のための基本合意書を締結しており、今後、連携してBovaerを生産者に資材として供給するほか、メタンガスの削減実績の環境価値化を図る。それによって、サプライチェーン全体のGHG削減を図るとしている。
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