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セブン&アイHD、規模生かした物流費削減に着手

2019年4月9日 (火)

産業・一般セブン&アイ・ホールディングスは、サプライチェーン全体の最適化を通じて持続可能性を高める取り組みを中心となって進める「グループ商品戦略本部」を立ち上げた。主力PB「セブンプレミアム」の開発強化と並び、グループ全体のサプライチェーンで物流負荷を引き下げていくことをミッションとして、「現在、具体的な取り組みテーマの洗い出しを行っている」(セブン&アイ・ホールディングス広報センター)ところだという。

全体としては、セブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂を柱とした「グループとしての物流」をできる限り統合していく方向性にあるが、セブン-イレブン国内店舗だけで2万904店舗(3月末時点)という巨大なネットワークを抱えるだけに、まだ全体像を描ける段階には至っておらず「どこまで統合していけるのかという見きわめが難しい」としている。

現段階では、具体例としてメーカー返品の削減を図る取り組みを示している。現在の”商慣習”では、ベンダーセンターと店舗が商品在庫を確保しておく期間について、在庫の「推奨開始」から「取消案内」を経て「推奨取消」まで確保し続けなければならず、推奨取消の段階で売れ残った商品の返品率を引き下げたいというのがセブン&アイの狙いだ。

▲メーカー返品削減の取り組みイメージ(出所:セブン&アイHD)

そのため2月からスタートしたトライアルでは従来の商慣習を破り、在庫確保期間を「取消案内」までにとどめ、推奨取消までの期間に在庫がなくなれば販売を終了し、欠品が生じても「やむを得ない」、つまり欠品を許容するという方向転換を模索している。現在もトライアルは継続中で、販売機会ロスとの兼ね合いなどが見えておらず、結論を出す段階になはいが、2月から1か月間にわたって実施した成果として、返品率は10%下げることができたという。また、異なるメーカーからグループの各業態で調達している商品についても「共用デポ」を設け、川上の物流で共同配送を検討している。

▲現在検討している川上物流の共同配送イメージ(出所:セブン&アイHD)

グループ商品戦略本部の取り組みは多岐にわたる見通しだ。現時点では具体的な取組分野が明らかになっていないが、同社は「できるところからやっていきたい。とはいえ、短期で答えを出すものだけでなく、中長期でじっくり取り組んでいくテーマも出てくるだろう」としている。