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トイレットペーパー配送強化、物流心配する声も

2020年3月4日 (水)

話題経済産業省は3日、メーカー、卸事業者、小売事業者の協力により、トイレットペーパーの配送体制を強化し、通常の倍にあたる1日あたり4000万ロールの配送体制をとっている、と発表した。

(出所:経産省)

併せて、この「4000万ロール」は、4人家族が3週間使用できるとされる12ロール1パックを1日で330万世帯に供給できる量であることを強調。在庫量は国民全体の3週間分に相当する3億5000万ロールあり、生産も継続していることから落ち着いた行動をとるよう呼びかけている。

この発表に対し、SNSでは「配送の強化と簡単に言うけど、急にトラックや人員が増えるわけもなく、通常の倍という無理な仕事を運送業者に押しつけているのでは」「生産は問題ないのは理解している。配送が間に合わない事を説明しないと」といった声があがっている。

(出所:経産省)

重箱の隅をつつくようなことかもしれないが、経産省の発表に「物流事業者」が明記されていないことから、流通の川上だけに焦点が当たり、流通全体を支える物流がシワ寄せを受けることが懸念される。

家庭紙の配送を手掛ける物流会社に聞くと、「社長・役員を含む全員で配送体制を整えている。電話と無線が鳴り止まない状態が続いており、全社の配車体制まで把握しきれていない」と話した。2日に大手卸事業者に行った取材では、「(配送を行う)協力会社に増車を依頼しているが、簡単にはいかない」といった声もあったことから、すでに相当の負担が物流現場にかかっているものとみられる。無理な運用体制は事故につながるおそれがあるため、経産省を含む川上の者には物流への配慮を、消費者には冷静な対応を期待したい。

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