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青伸産業運輸が日野自など3社コンテナ相互利用実現

2020年3月9日 (月)

認証・表彰国土交通省がこのほど更新した物流総合効率化法(物効法)の認定状況によると、青伸産業運輸(東京都青梅市)が「インランドデポ」を活用した海上コンテナの相互利用(ラウンドユース)で、日野自動車など関係5社と協力し、総合効率化計画2件の物効法認定を受けたことが分かった。取材に対し同社は「これをやっていかないと将来はない」と力強く語った。

▲青伸産業運輸の「瑞穂インランドデポ」

同効率化計画のカギを握る「インランドデポ」とは、内陸で海上コンテナの保管・積み降しを行う物流拠点のことで、青伸産業運輸は「環境への配慮」と「ドライバー不足の解消」を目的に、同拠点を活用したコンテナのラウンドユースを推奨・提案してきた。

輸入住宅資材の荷主である日本産業(栃木県下野市)、通関業者のエヌティエス(東京都江東区)、輸出用自動車部品の荷主である日野自動車――の3社とともに認定を受けた事例では、輸入住宅資材を東京港・横浜港から日本産業の工場(山梨県上野原市)と倉庫(埼玉県入間市)にそれぞれ搬入後、空になったコンテナを日野自動車の工場(東京都羽村市)で輸出用自動車部品の輸送に使用。この間、必要により青伸産業運輸の「瑞穂インランドデポ」(東京都瑞穂町)で空コンテナを保管する。

通常であれば港と工場・倉庫の往復のうち、片道は空コンテナとなるが、青伸産業運輸が輸入と輸出の荷主をマッチングし、通関業者や船会社の協力を得ることで、空コンテナの回送区間を大幅に削減。CO2排出量とドライバーの運転時間を半減(590トン、2万時間の削減)させることに成功した。

▲日本産業と日野自動車のラウンドユース概要(出所:国交省)

一方、マースジャパン(東京都港区、輸入荷主)、大東港運(東京都港区、通関業者)、日野自動車(輸出荷主)――の3社と実施している事例では、輸入ペットフードを東京港からマースジャパンの工場(茨城県坂東市)に搬入後、空になったコンテナを日野自動車の工場(茨城県古河市)で輸出用自動車部品の輸送に使用。必要により青伸産業運輸の「青伸ロジスティクスセンター古河」(同市)で空コンテナを保管する。この取り組みにより、CO2排出量と運転時間を4割近く削減(287トン、1.3万時間の削減)することに成功した。

▲マースジャパンと日野自動車のラウンドユース概要(出所:国交省)

▲「青伸ロジスティクスセンター古河」

取材に対し、青伸産業運輸の担当者は「当初は日野自動車の輸出貨物輸送をメインで行っていたが、運送会社として環境にやさしい輸送とドライバー不足の解消に取り組む中で、4・5年前からこの計画に着手した。荷主同士よりも、それぞれの物流を担う運送会社の方がコンテナ輸送の実情を知っているので、当社が荷主・通関業者・船会社などの調整を申し出た。輸入・輸出の荷主が互いに近在しながら、契約している船会社によってコンテナが異なるためにマッチングは難航したが、丁寧に説明を重ねることで関係者の協力を得ることができた」と経緯を語った。

今後は東京2020大会に向けて東京港がますます混雑すると懸念されており、同社は「これをやっていかないと将来はない」と言い切る。その背景には、輸送効率化を進めて物流をうまく回さないと、コンテナに限らず日本の物流が立ち行かなくなるという強い思いがあるという。

▲コンテナラウンドユースの説明図(出所:青伸産業運輸)