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物流環境特別賞に9件、三井倉庫など19社受賞

2020年6月8日 (月)

認証・表彰日本物流団体連合会は8日、第21回物流環境大賞の受賞者を決定し、公表した。

部門賞の「物流環境特別賞」には、ニチレイロジグループ本社の低温物流施設の環境負荷軽減、三井倉庫の原材料輸送の効率化、佐川急便ら3社の鉄道モーダルシフト、積水化学とセンコーの海上モーダルシフト、日立物流の新型専用輸送コンテナ開発、コルテバ・アグリサイエンスら5社の鉄道モーダルシフト、クレシア物流ら3社の海上モーダルシフト、日本通運と日幸製菓の鉄道モーダルシフト、鴻池運輸の輸送網集約――の9件が選出された。概要は次の通り。

■ニチレイロジグループ本社の低温物流施設の環境負荷軽減
受賞者:ニチレイロジグループ本社

概要:低温物流施設(冷蔵倉庫)で使用しているフロン冷媒について、専門チームによるデータ集積やフロンを発生させない自然冷媒冷凍装置の導入により、フロン漏えい量を削減したほか、各センターへ省エネ機器を導入し、CO2排出量の削減を実現した。
従来のフロン漏えい防止対策は、熟練技術者のノウハウに依存していたが、漏えい対策の専門チームを結成することで、点検結果を「設備保全管理システム」に蓄積し、漏えいの予兆診断・点検精度の同一化に活用している。また、既存フロン設備の自然冷媒冷凍機への転換や太陽光発電の導入、冷蔵倉庫庫内灯の全灯LED化など電力使用量削減にも積極的に取り組んだ。

■三井倉庫の原材料輸送の効率化
受賞者:三井倉庫

概要:キリンビバレッジの製造工場付近に専用の出荷拠点を設置し、各原材料サプライヤーから届く原材料を一括して輸送することで、積載率向上とトラック台数の削減を実現した。
従来は原材料サプライヤーが個別に4トン車で輸送していたが、原材料の製造工場や倉庫は拠点が著しく少なく、長距離輸送が多くなっていた。そこで、同社は専用の出荷拠点に集約して必要量の原材料を複数まとめて輸送する体制に変更。倉庫・工場間を10トン車に満載して輸送することが可能となった。

■佐川急便ら3社の鉄道モーダルシフト
受賞者:佐川急便、富士山の銘水、全国通運

概要:山梨県から福岡県へのミネラルウォーターの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを行った。
輸送に関しては、積み荷をパレット化し、荷物の隙間へトラックボードとエアバックを活用して荷物を固定することで輸送品質を維持したほか、帰り荷はパレットの返回送を実施している。この取組みにより、CO2排出量削減と輸送効率化を実現した。

■積水化学とセンコーの海上モーダルシフト
受賞者:積水化学工業、センコー

概要:北海道から九州まで住宅生産会社8拠点への部材の輸送について、従来はサプライヤー各社から個別にトラック輸送していたものを、埼玉県と奈良県のハブ2拠点に集約してからまとめて納入することで、効率的な輸送を実現した。北海道向けについては、トレーラーシャーシを利用し、RORO船・フェリーを活用した海上輸送へのモーダルシフトを実施した。

■日立物流の新型専用輸送コンテナ開発
受賞者:日立物流

概要:同社は東京から北海道へのシュレッダーダスト輸送にコンテナ船による海上輸送を利用しているが、この輸送を効率化するため、独自に専用コンテナを開発した。
新型コンテナは、高さが通常のコンテナより30センチ高く、側面に8分割が可能な観音扉を設置。さらに天井面を開閉式から天蓋着脱式にすることで圧縮積載と側面からの荷卸し(排出)を可能にし、積載効率・荷卸し効率の向上を実現した。この取組みにより、コンテナ輸送量が毎月3分の2に抑えられ、CO2排出量を削減することができた。

■コルテバ・アグリサイエンスら5社の鉄道モーダルシフト
受賞者:コルテバ・アグリサイエンス、丸善昭和運輸、高崎通運、日本パレットプール、日本貨物鉄道

概要:全国5か所の製造拠点から各地の物流拠点までの農薬輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを行った。エアバッグ・免振パッド・滑り止めシートを利用した養生に取り組むことで、ばら積みからパレット化に転換し、積み降ろしの効率化と養生の擦れ傷による返品減少など、生産性と輸送品質向上を実現した。

 ■クレシア物流ら3社の海上モーダルシフト
受賞者:クレシア物流、静岡運送、川崎近海汽船

概要:静岡県から福岡県への家庭紙の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実施した。
従来はトラックによる輸送を行っていたが、空車回送の削減や長距離輸送力の確保に向け、トレーラーを活用した海上モーダルシフトを実施。輸送力の安定供給を可能としたほか、乗務員を近距離輸送に特化させることができたため、働き方改革にも貢献する。

■日本通運と日幸製菓の鉄道モーダルシフト
受賞者:日本通運、日幸製菓

概要:岐阜県から福岡県へのチョコレートの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実施した。
従来は温度設定が可能なトラックや路線便で輸送していたが、冷凍コンテナを活用した鉄道輸送へ切り替え、安定的な輸送を確保。積み替え作業が発生せず、輸送中の温度も確認できるため、輸送品質が向上した。

■鴻池運輸の輸送網集約
受賞者:鴻池運輸

概要:鳥取県の飲料製造工場で発生する製品や包材の輸送について、新たに集約拠点を設置し、輸送網の集約・実車率向上を実現した。
従来は包材輸送事業者が個別納入をして空車で戻り、別のトラックが空車で工場へ向かい製品を積載していたが、空車走行が多いうえ午前中に入荷車両が集中し、車両待機時間も増加していた。そこで、各社の包材を集約拠点に集め、鴻池運輸の車両が一括する輸送に転換。復路では製品を積載するため、空車走行の削減と待機時間の解消にも成功した。