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荷主企業の3割が生産・物流体制を見直し、JILS調べ

2020年7月1日 (水)

ロジスティクス日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は、新型コロナウイルスがサプライチェーンに与える影響について、ことし3月に続く2回目のアンケート調査を6月16-23日の間に実施し、荷主企業69社・物流企業77社の回答をまとめた調査結果を6月30日に公表した。

これによると、原材料や部品などの調達遅れ、大幅な販売増加または減少、輸送コストの上昇などによって、サプライチェーンが混乱し、荷主企業の一部では生産・物流体制の見直しを迫られていることがわかった。

今回の調査で目立ったのは、調達・仕入れに遅れが生じている企業が増加した点。国内取引先からの調達・仕入れに「遅れが生じている」と回答した荷主企業は46%で、前回の3月調査から21ポイント増加。「海外取引先からの調達・仕入れに遅れが生じている」と回答した荷主企業は51%で、前回から15ポイント増加した。

「特に影響はない」とする企業が国内・海外ともに前回調査から減少しており、遅延以外にも「調達・仕入れができなくなった」「調達・仕入れ先が変更になった」「調達・仕入れの条件が変更した」「在庫の偏りが生じている」と回答した企業が増加した。

また、国内取引先向け受注・販売に関する調査では、「大幅に増加した商品がある」企業が17ポイント増えて50%、「大幅に減少した商品がある」企業が倍増して43%になるなど、国内消費の偏りが顕著に表れた。

この結果として「在庫の多寡・偏りが生じている」企業も31%に倍増したが、「納品先・納品頻度に変更が生じている」企業は半減して10%にとどまった。3月時点と比べて国内消費の偏りが色濃く反映されている一方、納品体制は比較的落ち着きを取り戻しつつあるのかもしれない。

■国内取引先向けの受注・納品・販売状況

海外取引先向けの受注・販売は、「大幅に増加した商品がある」企業が10%(6ポイント増)、「大幅に減少した商品がある」企業が21%(8ポイント増)と、それぞれ小幅に増加した一方、「在庫の多寡・偏りが生じている」企業の割合は17%と前回調査から3倍に増加。国際輸送の停滞や海外工場の生産調整によって、国内に在庫が滞留し始めているものとみられる。

国際物流の輸送コストに関する調査では、航空輸送コストが「大幅に上昇している」と感じる企業が海外全方面で過半数を占めた一方、海上輸送コストに関しては、「大幅な上昇」とは感じていない企業が多くを占めた。

こうした背景から、荷主企業の34%が生産体制を変更し、30%が取引先との調整による物流条件の変更を行った。条件を変更した企業のうち、71%は自社の物流部門が変更を主導し、81%が何らかの効果を感じている。

国内のトラック輸送に関する調査では、「以前と比べてトラックを確保しやすくなっている」(38%)「特に影響はない」(36%)の回答が多く、物流拠点に関する調査では、70%が「特に影響はない」とした。少数回答ではあるものの、「物流拠点を増やした」(6.2%)は「物流拠点を削減した」(1.5%)を上回った。

■トラック輸送の状況