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SBS、東芝ロジ買収後の事業戦略を説明

2020年8月25日 (火)

ロジスティクスSBSホールディングスは25日、本社で事業説明会を開催し、同社の鎌田正彦社長が今後の成長戦略を語った。

▲SBSHDの鎌田正彦社長

物流業界の注目を集めた東芝ロジスティクスの買収については、10月1日の株式取得に向けてSBSと東芝ロジスティクスの双方で分科会を立ち上げ、着々と準備が進められている。

鎌田社長は「リコーロジスティクスを買収した際の経験があるものの、給与や総務、人事といったさまざまなシステムを東芝から完全に引き継ぐには2年から3年の時間がかかる」と説明。現在は、10月1日の合流に向けて残った課題をクリアしていく段階にあるという。

今後は、「東芝ロジスティクスが取り組んでいる4PLの取り組みをSBSの3PLのノウハウで支援していく」(鎌田社長)とし、海外事業はSBSリコーロジスティクスと共同で展開していく考えを示した。

東芝ロジスティクスとSBSリコーロジスティクスは、中国やタイといったアジアの拠点のほか、欧州・米州にもそれぞれ1か所ずつ拠点を構えており、共通点は多い。既に東芝ロジとSBSリコーロジの双方から、海外事業を一緒に展開していきたいとの意向が示されているという。

加えて、東芝ロジは米州と香港で半導体を取り扱う倉庫を運営していることから、鎌田社長は「SBSの海外展開はフォワーディング中心だったが、東芝ロジと組むことで海外で3PL・4PLを展開できるようになる」と可能性に言及した。

一方で、海外のM&A戦略について問われた鎌田社長は、「過去にインドで失敗した経験がある。適正価格の案件以外に積極的に仕掛けるつもりはない」と述べ、その背景に海外のM&Aは国内のそれと比べて買収価格が高くなる傾向があることを説明した。

国内のM&Aについては、売上が10億円から100億円規模の複数企業から打診を受けていることを明かしたが、「東芝ロジの合流に時間がかかる」(鎌田社長)として、すぐに大型案件に着手することは難しいとの見方を示している。

国内の不動産事業については、10月以降、倉庫面積が東芝ロジの20万坪とSBSの50万坪を合わせて70万坪となるが、鎌田社長は「当面はこれを100万坪に増やしていく」と明言。その意図について「100万坪あればロジの仕事が広がる。SBSの不動産戦略の本質は、売却益を得ることではなく、自社で安価な倉庫を開発し、床を増やしてロジの仕事を増やすこと。これまで手を出せなかった1案件100億円とか200億円の仕事ができるようになる」と力を込めた。

新型コロナウイルスの影響で需要が拡大している宅配については、「送料の値上げ・値下げを繰り返すことに憤りを感じている荷主は多い。もし日本でも置き配が主流になったら宅配業界はがらっと変わると思う」(鎌田社長)との予測を示し、自動化機器を導入した「ハイテク型の3PL拠点開発」に積極的な姿勢を見せた。既に一部の拠点では自動化の検証を終えており、次の段階として、自動化できるものとできないものに分け、できるものは積極的に自動化を進めていくという。

一方で、宅配エリアの拡大については慎重な見方を示し、「宅配大手3社と全国ネットで渡り合っていくつもりはなく、できるエリアで展開していく。読売新聞とは東京23区で1日3000個を取り扱っており、エリアと取扱量の拡大を検討しているが、品質を確認しながら確実に進めていく」と述べた。

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