ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

伊藤忠、ファミマ上場廃止の理由筆頭に「物流合理化」

2020年9月10日 (木)

荷主東証1部上場のファミリーマートは10日、親会社の伊藤忠商事による株式公開買い付けが成立したことを受け、11月12日付で上場廃止となる見込みを発表。伊藤忠商事から提出された書面を引用し、上場を廃止する理由の筆頭に、伊藤忠商事が、日本アクセスと取り組むファミリーマートの物流合理化が「未だ十分な成果を出すには至っていない」と考えていることを挙げた。

書面の中で伊藤忠商事は、両社がともに上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、伊藤忠商事グループ内でファミリーマートと緊密な連携をする際に、ファミリーマートの少数株主の利益も考慮した慎重な検討を要することから、「十分な情報共有」や「経営資源の再配分が行われないことなどの一定の制約が生じ、伊藤忠商事グループ一体となって迅速な意思決定を推し進めていくことが十分に実行できていない」と指摘。その一例として、物流合理化の取り組みについて言及した。

伊藤忠商事は、ファミリーマートのコスト構造の中で、「物流・製造というサプライチェーンの占める割合は極めて大きい一方、昨今のドライバー不足やEコマース需要拡大による人件費増などの上昇圧力により物流費が高騰・高止まりしている」と認識。

同社完全子会社の日本アクセスとともに物流コスト削減に取り組んできたが、「物流コストを本質的に削減」するサプライチェーン全体の最適化には、「ファミリーマートの発注情報や、物流製造各社のヒト・配送車のシフト、在庫情報などの取得が不可欠」で、ファミリーマートが上場子会社となっている現状では、「充分な情報を取得するには制約」があるという。

加えて同社は、伊藤忠商事が上場子会社であるファミリーマートに対し、グループとして事業ポートフォリオ戦略の実行や経営資源の再配分を行うことは、「利益の一部がグループ外に流出してしまうことになるといった問題が指摘される可能性」があると指摘。

これらの制約が、伊藤忠商事がファミリーマートの物流合理化とそれによる物流コスト削減で「未だ十分な成果を出すには至っていない」理由であり、ファミリーマートを上場廃止とする理由の1つだと説明している。