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欧州もフィジカルインターネット実現へ「IKIGAI」始動

2025年7月31日 (木)

ロジスティクス欧州で物流イノベーションを推進する官民連携組織「ALICE」(Alliance for Logistics Innovation through Collaboration in Europe)は、日本の「生きがい」をコンセプトにした大規模な物流革新プロジェクト「IKIGAIプロジェクト」を7月1日に開始した。このプロジェクトは、2040年までにフィジカル・インターネット(PI)の導入を加速し、50年までに貨物輸送と物流の完全な脱炭素化を目指す。総予算は24億円で、期間は28年12月までの3年半にわたる。

同プロジェクトは、伊・FITコンサルティングが運営。ALICEに加盟する企業25社が参画するほか、物流の専門家集団「NISHIDA Circle」(ニシダ・サークル)が助言役として参加する。ニシダ・サークルには、フィジカルインターネットセンターの理事長を務める森隆行名誉教授(流通科学大学)と、PIラボ所長のブノワ・モントルイユ教授(ジョージア工科大学)が欧州域外から参画し、日米の知見を反映させる重要な役割を担う。

▲IKIGAIプロジェクトメンバーを前に、日本でフィジカルインターネットが求められている背景を解説する森教授

プロジェクトは「5つの物流イノベーション」と、それを具体的に進める「6つのワーキングパッケージ」を柱として推進する。物流イノベーションでは、電化やインターモーダル輸送を促進するための荷主マッチング、中小企業向けの協働サービスプラットフォームの構築、都市物流のためのスマートハブ開発、標準化された炭素排出量計算システムの導入、そして再利用可能な標準モジュールボックスの管理体制構築などを掲げる。これらの革新を市場に展開するため、ルールブックの作成やPI規範の定義、実証実験の監査、関係者連携の促進などをワーキングパッケージとして設定し、計画的に実行していく。

プロジェクトの始動に先立ち、7月8日と9日にはローマでキックオフミーティングを開催し、70人が参加した。会議では森教授も基調講演を行い、日本の「物流2024年問題」といった課題を背景に、PIの重要性を訴えた。プロジェクトの成果として、持続可能な物流ネットワークの構築、ゼロエミッション物流の推進、PI規範の確立、物流イノベーションの拡大、そしてグローバルな協力体制の構築の5点を目指す。今後は毎月のワーキングパッケージリーダー会合と年2回の全体会議を通じて、プロジェクトを着実に進めていく計画で、26年の対面会議は6月にフランスで開く予定だ。

▲伊・ローマで開催されたキックオフミーティングの様子

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