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ドローン市場は拡大も収益確保に課題、TSR

2025年7月31日 (木)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は7月31日、ドローン業界では市場拡大が続くものの、主要企業の多くは研究開発などの先行投資で収益確保に苦慮しているとのレポートを公表した。今後、市場では成長企業が現れる一方、淘汰も進み、M&Aや合従連衡などが続くと予想している。

同社の企業データベースから、ドローン機体メーカーや関連サービス業などドローン業界の主な431社を抽出し、分析した。

主要431社の売上高の合計は、2022年が2336億8100万円、23年が2517億3700万円(前年比7.7%増)、24年が2700億100万円(同7.2%増)と、順調に拡大している。しかし、利益は22年が6億9600万円の赤字で、23年が17億1800万円の赤字、24年が13億5200万円の赤字と業界全体では赤字が続いている。赤字企業の数も22年は108社(構成比25.0%)、23年は116社(同26.9%)、24年は131社(同30.3%)と年々増えている。一部の大手企業で投資や研究開発費などで多額の赤字を計上する傾向がみられる。

▲ドローン関連事業の休廃業・解散、倒産年次推移(クリックで拡大、出所:東京商工リサーチ)

ドローン業界では新規参入も相次いでおり、新たに設立された法人は21年から毎年200件台で推移している。一方で、事業譲渡やM&Aなどの動きも出ており、大手商社などが出資したナイルワークス(さいたま市南区)は5月、農業用ドローン事業の開発リソースをNTTグループに譲渡し、清算することを発表した。大手の中には積極的なM&A戦略を掲げる企業もあり、ドローン市場はシェア競争が激化している。

売上高別では、1億円未満が181社(構成比42.0%)で最も多く、次いで、1億以上5億円未満が157社(同36.4%)、10億円以上50億円未満が46社(同10.6%)、5億円以上10億円未満が40社(同9.2%)となっている。売上高が最も大きいのはドローンネット(東京都千代田区)の446億1800万円だった。

24年のドローン関連事業の休廃業・解散は16件(前年比57.8%減)、倒産は4件(同20.0%減)で合計20件(同53.4%減)が市場から撤退した。休廃業・解散は、直近10年間で23年の38件が最も多く、22年の25件に次いで3番目の数だった。

新設法人数は21年から4年連続で200社台となっており、24年は229社(前年比13.5%減)だった。

業界ではドローンを「空飛ぶクルマ」として活用する計画を打ち出し、政府はドローン(小型無人航空機)の利活用の促進に向け、環境整備を進めている。同社は「ドローンの有益性と市場性に着目し、ドローン市場は今後も拡大が見込まれるが、新規参入しても先行投資や開発費の負担から当初は赤字が続くのが現実だ」と指摘している。

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