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デンソー、車載冷凍機の遠隔監視サービスを開発

2020年11月5日 (木)

サービス・商品デンソーは5日、トラックに搭載されているデンソー製冷凍機を遠隔監視し、異常を即時検知して通知するサービス「D-FAMS」(ディー・ファムス)を開発し、子会社のデンソーソリューション(東京都渋谷区)を通じて数量限定で先行販売を開始する、と発表した。本格的な販売は2021年春となる見通し。

D-FAMSは、トラックに搭載されている冷凍機を遠隔から監視・管理することで、メンテナンスの適切な時期や、これまで乗務員しか気づくことができなかった故障、異常を検知し、通知するサービスで、冷凍機の稼働情報をサーバーへ送信する機器を冷凍機に後付け装着し、機器からの稼働情報をもとに、デンソーの冷凍機サービスセンターで監視を代行する。

これにより、運行管理者は、冷凍機の故障や異常をタイムリーに検知できるようになるため、素早く修理して車両が使えない時間や配送商品の品質劣化を減らすことができる。

同社はこれまで冷凍機の販売・修理を行ってきたが、D-FAMSを開発したことで、監視を含めた一貫したサービスの提供が可能になった。今後は「故障が起こる前の異常予知・予測」などの新機能を段階的に追加する計画で、遠隔監視技術をバス用エアコンにも拡大し、国内外に展開する。

旧態依然の現場常識を改善

 

冷凍・冷蔵品の物流業務は、大げさに書けば「最後のアナログ現場」ともいえる。

荷役はほぼ手作業に終始し、過酷な作業環境の中で、職人化した作業員が黙々と日々の仕事をこなしている。もちろん改善や改新も多く施されつつある近年ではあるが、他職に比して手の入りそうな個所は数多く残されている。

その中で、監視機能を属人化から解放する仕組の開発は、従事者の人員不足解消だけでなく、万全の管理を経て、消費者に安全な商品を届けるためのトレーサビリティ開示にも大きく寄与するだろう。

積込みや荷下ろしなどの作業技術に目がいきがちだが、こういった、何も起こらないことを是とする「暗黙のゼロという目的地」を目指す技術や業務は、より高い評価を受けるべきだと考える。(企画編集委員・永田利紀)