フード食品盛り付け作業を行う人型協働ロボット「Foodly」(フードリー)の開発に取り組むアールティ(東京都千代田区)は17日、中食業界向け人材派遣のウィルオブ・ファクトリー(同)と連携する、と発表した。
アールティは、食品盛り付け工程のライン上で人と並んで働くロボットとしてフードリーを開発し、2018年にプロトタイプを発表。21年の発売・実用化を目指すなか、ロボットの普及方法を模索するため、ウィルオブ・ファクトリーと中食業界向けに販売代理店契約を結んだ。
ウィルオブ・ファクトリーは食品工場に対してフードリーを提案するとともに、運用も支援することで現場の声をアールティと共有。アールティはその声を開発にフィードバックして「人の働き方に寄り添ったロボットの導入方法」を探る。標準構成モデルを21年初頭に発売する計画。
フードリーは「ばら積みの食材をひとつひとつ認識してピッキングし、ベルトコンベアのラインで人の隣に並んで働くことができる世界初のロボット」で、現在は導入相談を受け付け、掴める食材の試験や食品工場での実証実験、導入試験を実施している。
20年3月時点では、食材によって1時間の盛付速度が700-800食、成功率も80-95%に達しており、これまでに「掴める食材」としてからあげ、ミニトマト、いなり、肉団子、ハンバーグなど10種類で有効性を確かめたという。10月にはキユーピーのパートナー企業として、経済産業省の「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」に参画。
次々と報告される「コボットたちがいる現場」
コボットと呼ばれる協働型ロボット(Collaborative Robot=Cobot)の普及が加速している。
この記事にある人型のタイプなどは、まさに「協働」をイメージさせるにはぴったりだ。AI搭載の自律型、もしくはメインシステムによって制御された遠隔操作ロボットたちが、製造や物流の現場にいる光景は珍しくなくなるだろう。欧米各国ではすでにコボットの開発・販売競争が激化し、新規参入事業者も後を絶たない様相となっている。日本国内においても同様の波動に見舞われることは明らかだ。
少子高齢化や現場作業忌避の労働志向による深刻な労働力不足。それを補完する筆頭に挙げられるコボットはまさに救世主となるだろうし、その点については疑いようがない。 しかし、AIによる利点ばかりを謳う世相には要注意でもある。この件については、別稿で詳細に説明するつもりだ。(企画編集委員・永田利紀)