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コンビニ3社・トヨタ・日野、FC小型トラック共同検証

2020年12月8日 (火)

調査・データセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンのコンビニエンスストア3社とトヨタ自動車、日野自動車の合わせて5社は8日、共同で燃料電池小型トラック(FC小型トラック)の導入を視野に入れた検討を開始し、将来の普及に向けた環境整備に取り組むことで合意した、と発表した。

コンビニ3社は、トヨタと日野が共同で開発する最大積載量3トンのFC小型トラックの導入を検討する前提として、2021年に走行実証を行い、実用性・利便性を検証する。

実証による評価を踏まえ、コンビニ3社は複数の配送センター、店舗間物流で「FC小型トラックによる配送がビジネス的・社会的観点で実用化可能かどうか」を22年以降も調べるための検討を進める。

また、将来の普及に向けて22年以降も使用実態を通じて水素ステーションの配置、水素供給・充てん能力、営業時間などの利便性、車両購入、水素燃料代など、課題を洗い出す。

併せて、これらの課題に対する改善策を提案するとともに、国・自治体・水素ステーション事業者などと協力し、将来のFCトラックの大量導入によるCO2排出量削減につながる有効な仕組みづくりの支援、協力体制を検討する。

トヨタと日野が開発するFC小型トラックは、航続距離400キロ程度を目標に設定しているが、FC乗用車に比べて水素使用量が多く、本格普及に向けては車両価格・水素価格の低減、水素ステーションの利便性向上などが課題となっている。

そこで5社は、共同で国や自治体、水素ステーション事業者などとの連携を図り、物流現場でFC小型トラックの運用を通じてさまざまな施策を検討し、課題の改善、解決に取り組むことで合意。小型トラックだけでなく商用車・乗用車を含めたFC車両の普及に向けた環境整備を推進していく。

物流分野でも指標化しているコンビニ動向

RFID(ICタグ)の採用と同じく、FCV普及においてもコンビニエンス各社の動向が強い影響力をもった指標として注目されている。

記事にある通り、水素エネルギーの利点のひとつに燃料供給時間の短さがある。先にトヨタが公開したFCV「MIRAI」(ミライ)への燃料補給場面のデモ動画では、3分から5分程度で満タン充てんが完了する。これは現状の走行可能距離の限界を補ううえで非常に有効だ。さらには水素の製造コストについても、大量消費を見込んだ大量生産によって大幅な低減が可能となることも広報されている。

現状では補給前のセットアップや充てん完了後の作業までの前後時間を含め、資格者による有人オペレーションが必要である。しかしそれも、スタンド設備の改良と規制緩和が進めば、ドライバーや拠点スタッフによるセルフ充てんが可能になるだろう。

膨大な車両数が高頻度で巡回稼働するコンビニエンスストアの最終配達車両がFCV化する意義は大きい。その中でもカーボンフリーへの具体策としての寄与度は突出しているはずだ。さらにはこの動きに追随する他業界が続出することに期待が高まる。(企画編集委員・永田利紀)