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常陸那珂・京浜間でコンテナ輸送実験、定期便誘致へ

2021年2月24日 (水)

常陸那珂港のコンテナターミナル(出所:茨城県ウェブサイト)

ロジスティクス茨城港常陸那珂港区の利用促進に向け、茨城県や複数の荷主企業はこのほど、同港と京浜港を結ぶ内航フィーダー船によるトライアル事業を開始した。22日から26日にかけてチャーター船を3往復するもので、京浜港を補完する可能性を持つ同港の課題やメリットなどを明らかにし、将来のコンテナ定期便誘致をめざす。23日には東京港から常陸那珂港に第1便が到着した。

トライアル事業は、県や地元の商工会などからなる常陸那珂港振興協会の助成事業として実施。北関東に複数の農機製造拠点を持つクボタの物流を担う、ケービーエスクボタ(大阪市浪速区)など20社近くで構成する「荷主連合」が、東京港との2往復には1隻を、横浜港との1往復には既存便の一部スペースをチャーターして、コンテナ貨物を配送する。

クボタ以外では、同じく北関東に製造拠点を有する小松製作所に加えて、サントリー、山善なども荷主に名を連ねる。これまでは陸上輸送していた貨物の一部を海上輸送に切り替えることで、物流コストや効率などの課題を見直すとともに、北関東自動車道に直結し地理的な優位性を持つ常陸那珂港の可能性についても検証する。

そのほか、インランドデポを活用したコンテナラウンドユース(CRU)の展開などについても検討を重ねる。京浜港に出入りするドレージ車両の減少による、二酸化炭素排出量の削減効果についても検証するという。

将来的な目標としては、外航貨物船の定期便誘致などをめざす。現状では必要な貨物取扱量が見込めるかどうかは不明ではあるものの、ケービーエスクボタ海外物流部長の武山義知氏は「鶏が先か卵が先かを語るのではなく、今回のトライアルを通じて実現に近づけたい」と意欲を見せる。

トライアル事業は来年度も継続する考え。今年度はコロナ禍により計画が思うように進まず、実施時期が年度末ギリギリにまでずれ込んだが、来年度は各荷主が連携し、できる限りベストの出入荷時期を選んだ上で実施したいという。