認証・表彰全国でタクシー会社による食料・飲料限定の貨物運送事業が続々と許可されている。10日、東北運輸局管内で19社、北陸信越運輸局管内で5社、関東運輸局管内で11社のタクシー会社が許可を取得したことが明らかになった。昨年11月時点で全国で459社、2万6353台の許可申請があったことが分かっており、今後も全国でタクシー会社の貨物運送事業参入が続くとみられる。
一方で、許可の申請を行ったものの、申請を取り下げる動きも出てきた。国土交通省によると、3月5日時点の許可申請・許可取得件数は442件と、11月時点から減少。申請台数も2万5854台と500台近く減少した。新しく申請する事業者と、申請を取り下げる事業者の数が拮抗した結果、件数と台数が「微減した」という。
デリバリー料金に対する単純な疑問
タクシー会社による食料・飲料限定の貨物運送事業や有料のデリバリー専門事業者(ウーバーイーツなど)について、素朴な疑問がずっと胸中にあった。
それは「出前とはいえ割高感が過ぎるのでは?」というもので、たとえば「1000円の弁当やその他似たような価格帯の出前品を、500円を超える送料を支払ってまで頼むのだろうか」という、自身の庶民的感覚から生じるものだ。
巷の出前サービスの送料を並べてみても、200円ぐらいが相場となっているようだ。それにしても「送料かかるんですか」という困惑の声が絶えることはないのだとか。
配送側のタクシーや出前代行業者からすれば、人件費などの諸経費から算出したギリギリの代金だということは理解できる。ただ、平均的な所得の個人が恒常的・定期的に利用することは難しいのではないかと思う。もちろん許容する利用者は存在するだろうし、場所や注文時の環境や条件で選択肢の第一になることも理解している。ここでの指摘は、やや抽象的ながら「一般的に」「主流化」「生活インフラ」という感覚からは遠いのでは、という総論だ。
いくつかの合わせ技や、複合サービスへの転用や認可を視野に入れなければ、登録申請と取り下げの混乱は続くという気がしてならない。(企画編集委員 永田利紀)