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郵政が楽天に8.3%出資し物流DX加速、三木谷氏「親戚関係に」

2021年3月12日 (金)

話題日本郵政、日本郵便と楽天は12日、物流、モバイル、DXなどさまざまな領域で連携を強化するため、資本業務提携を締結した。日本郵政が楽天に1500億円を出資する。出資比率は8.32%となる。(赤澤裕介)

楽天の三木谷浩史会長兼社長

これにより、物流面では今後、(1)共同物流拠点の構築(2)共同の配送システム、受取サービスの構築(3)日本郵便、楽天の両社が保有するデータの共有化(4)新会社設立を含む物流DXプラットフォームの共同事業化(5)RFC(楽天フルフィルメントセンター)の利用拡大(6)日本郵便のゆうパックなどの利用拡大に向けて協力する。

モバイル分野では、郵便局内のイベントスペースを活用した楽天モバイルの申し込みなどカウンターの設置、日本郵便の配達網を活用したマーケティング施策の実施を検討。

日本郵政の増田寬也社長

DX分野では、楽天グループから日本郵政グループに対するDXに精通する人材を派遣して日本郵政グループのDX推進に協力。金融面ではキャッシュレスペイメント分野での協業、保険分野での協業EC、物販分野での協業を目指す。

楽天の三木谷浩史会長兼社長は「物流にとどまらず、金融、モバイル事業でも提携を深めていきたい。日本郵政と親戚関係になるのは、日本社会にとって歴史的な1ページになると考えている。コロナ禍によってDXが加速している。ネットがなくてはやっていけない社会になった」と述べた。

■質疑応答

——日本郵政が楽天に8%を出資するのはどういう意味を持つのか。

日本郵政・増田寛也社長:業務提携を超えて資本提携を進めていくことにより、提携レベルが深まっていくと考えている。出資に際してはリスクとリターンを慎重に検討して判断した。物流提携については昨年12月に発表したが、今後はさらにその物流の中身についても業務の効率化を超え、より多くの荷物を両社で増やし、日本郵便を使ってもらうための提携だと考えている。

楽天・三木谷浩史会長兼社長:物流だけでなく広範な提携を考えていく。具体的には今後決めていく。物流では「ものがどこにあるのか」など、ユーザビリティの向上を進めていく。

——資本業務提携の経緯は。
増田氏:物流分野を中心に、フィンテックについても検討すると昨年12月に話したが、年が明けて1月になり、楽天側から「業務提携を超えて資本提携に進めた方がいいのではないか」と楽天から話があった。日本郵政としても内々、そう思っていた。楽天からDXの有為な人物を転籍の形で4月に受け入れることになっている。

——リアルな物流ネットワークを持つ日本郵政グループとの提携ということだが、楽天はこれまでワンデリバリーという形でお金と時間を使ってきた。今回の提携で、これらがどの程度加速できるのか。1500億円の使途は。

三木谷氏:具体的な期間の短縮ということについてはこの場ではいえない。いずれにせよ物流デジタルプラットフォームを共同開発することで、かなりの効率化が楽天サイドにもたらされる。全国津々浦々に楽天エクスプレスを行き渡らせることに取り組んでいるが、現在のカバー率は67%程度。この分野でもご一緒してもらうことを考えている。現在は社会がDXのまっただ中にあり、世の中が根本的に変わる5年を迎える。楽天としても物流、AI、モバイルへ投資している。これを通じて日本郵便に恩返しできるのではないかと考えている。

(出所:日本郵政・楽天)