国際国土交通省は30日、シベリア鉄道を活用した日欧間貨物輸送パイロット事業の結果、輸送コストや手続きの円滑さ、貨物の位置情報把握の面が課題となったものの、輸送リードタイムや輸送品質で良好な成果が得られたことを明らかにした。
国交省ではロシア運輸省、ロシア鉄道と協力して「海上輸送、航空輸送に続く第3の輸送手段」の選択肢として、シベリア鉄道の利用促進に取り組んでおり、2020年度はシベリア鉄道を用いたブロックトレイン(1編成借上げ列車)で日本・欧州間の貨物輸送パイロット事業を実施した。
この結果、ブロックトレインによる鉄道料金の低減効果があったものの、通常の海上輸送比で平均2.3倍程度とやや割高だったほか、手続き面でも通常より早期に貨物情報の提示を求められるなどの課題を確認。ポーランド以西の欧州地域では、貨物の位置情報の確認が困難になったという。
ただ輸送品質は良好で、リードタイムも海上輸送を中心とした場合と比べておよそ半分に短縮。15の輸送案件のうち6案件では、海上輸送比で半分以下のリードタイムを実現した。
これらの結果を受け、パイロット事業への参加企業からは「コロナ禍により日欧間物流が不安定化している中で、第3の選択肢としてシベリア鉄道の利用検討の余地がある」との声があった。