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豊田市・トヨタ・ヤマト運輸がワクチン供給で連携

2021年4月27日 (火)

行政・団体愛知県豊田市は27日、円滑なワクチン接種に向けた取り組みとして、ヤマト運輸による超低温帯輸送とトヨタ自動車による接種会場の効率的な運営支援を組み合わせた「豊田市モデル」を推進すると発表した。23日に三者連携協定を交わした。5月30日の集団接種から運用をはじめる。

この枠組みで、ヤマト運輸はドライアイスを使用せず超低温氷と専用容器を使用した専用保冷箱にワクチンを格納し、接種会場までの移送・保管を一貫して専用保冷箱内で行う。これにより、超低温冷凍庫から取り出した後もワクチンをマイナス60度以下にキープする。

トヨタ自動車は「つどいの丘」「フォレスタヒルズ」「TREC」(堤工場厚生センター)、「トヨタスポーツセンター」の自社関係4施設を集団接種会場に提供するほか、会場運営支援・医療スタッフとしてトヨタ自動車産業医延べ100人、看護師など延べ350人、会場運営スタッフ——を集団接種会場に派遣協力する。

これらの組み合わせにより、豊田市は市域内の18の集団接種会場と個別接種医療機関への輸送でワクチンメーカー推奨保管温度(マイナス90度からマイナス60度)を保持して安全性を確保するとともに、接種会場では電源や冷蔵設備などに左右されない安全なワクチン保管を実現。接種会場の提供とスタッフの派遣によって接種体制も確保する。

(出所:豊田市)

設計力と現場力の組み合わせに注目

新型コロナウイルスワクチンのニュース以前に、トヨタ自動車とヤマト運輸という組み合わせに反応した物流関係者は多いのではないだろうか。内容の検分や評価は丁寧にじっくりと行うべきなのは当然だが、一方では「どれほどの完成度なのか」という期待が高まる。

トヨタによる合理的で穴の少ない業務フロー設計。そしてそれを請け負うのは、国内屈指の個配機動力を有するヤマト運輸。業務完成度は高いと予測して支障ない。さらには、本スキームについての関心以上に、今後の「トヨタ×ヤマト」という組合せの露出増加が予見できて、期待は否応なく高まる。

誰もが日常生活で目にする、不朽の名作と評される「クロネコマークの緑色の配達車」を製造して以来の関係だが、その長い歴史の中で、協業推進については表立った動きは少なかった。両巨人の並走が何を目指してどう進むのか。少し仮想するだけで、いくつもの素案が浮かびワクワクする。次は何を発表するのか注目したい。(企画編集委員 永田利紀)