サービス・商品日本気象協会(東京都豊島区)は24日、悪天候時における安全な輸送を支援する物流向けウェブサービス「GoStop(ゴーストップ)マネジメントシステム」の新コンテンツとして、全国の高速道路を対象とした輸送影響リスクを6日先まで予測する「6日先予報」の提供をことし10月に始めると発表した。高速道路の通行状況の把握は、社会インフラである物流の継続に不可欠な情報だ。物流業界にとっては、高速道路網の輸送への影響リスクを事前に把握できることで、より最適な輸送計画の策定につなげられる利点がある。
6日先予報は、2020年6月に提供を開始したゴーストップマネジメントシステムのコンテンツ「高速道路影響予測」の期間を、従来の3日先から6日先にまで拡大する。これにより、長期間続く大雨や大雪時にて、6日前から高速道路上のリスクおよび気象ピークを把握できる。6日先予報を利用した企業は、従来よりも早いタイミングでの輸送企業と荷主企業、納品先との相談や輸配送の調整が可能になることで、国土交通省や経済産業省、農林水産省が推奨する「ホワイト物流推進運動」について、異常気象時の運行中止や中断の的確な判断による環境負荷の小さい効率的な輸送にも貢献できる。
予測期間を3日先から6日先に拡大した狙いは、サプライチェーンのリードタイムの短期化が加速していることにある。原料調達の調整や、EC(電子商取引)サービスの普及拡大による即日配達の必要な荷物の増加などで、ある程度長期のリスク予測が要請されていた。日本気象協会も、「1年間のGoStopマネジメントシステム提供を通して大雨や大雪時により長い期間の予測提供が必要」との判断から、予測期間の延長を決めた。
サプライチェーン維持という共通の目標
高速道路の輸送影響リスクの「6日先予報」は、物流サービスを展開する事業者だけなく、荷主企業や取引先を含めた業界関係者の高い注目を集めそうだ。スマートフォンの普及で天気予報アプリが全盛のご時世に、やや時代遅れの感が否めない向きもあろうが、こうした高速道路の気象予測は意外に難しいものだ。
なぜなら、高速道路は地方路線を中心に、山間部を経由した路線が非常に多いからだ。平地の少ない我が国は、高速道路を山間部に通すことで、距離の短縮を図るとともに都市部の住環境保護にも配慮してきた歴史がある。それゆえに、天気の変化が激しい山間部を含めた気象予測は、高速道路に依存した運行計画を構築している幹線輸送企業を中心に、極めて重要なのだ。
日本気象協会があえて物流向けの新サービスを打ち出すのは、物流は社会インフラの一翼を担っているという事実が認知されてきたからだ。国内では近年、大雨や大雪などによる高速道路の大規模な通行止めが発生し、物流トラックが長蛇の列を成す映像がテレビやインターネットで多く流れた。自然現象をそのものを回避することができないが、事前にある程度対応することは可能だ。近年の目覚しい気象予測技術の進化が物流インフラを守る。何とも意義のあるパートナーシップではないだろうか。(編集部・清水直樹)