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プロロジスが仙台で物流施設開発、配送拠点で訴求

2021年9月15日 (水)

拠点・施設プロロジス(東京都千代田区)は15日、賃貸用物流施設「プロロジスパーク仙台泉3」(仙台市泉区)の開発を決定したと発表した。BTS型(特定企業専用)とマルチテナント型のいずれにも対応可能な物流施設として計画を進める。東北エリア全域への配送拠点として、流通や食品、Eコマースなど幅広い業種を想定して営業展開を加速させる。

出所:プロロジス

プロロジスパーク仙台泉3は、仙台市泉区の「泉パークタウン」近接地に開発。東北自動車道「泉インターチェンジ(IC)」より1.7キロメートルと至近で、東北各県をはじめ関東方面など広域アクセスも良好なのが強みだ。鉄道の要衝である仙台駅からも10キロメートルと近く、仙台市中心部への利便性も高い。

開発地は物流施設の進出が盛んで、2015年に竣工したキユーソー流通システムのBTS型物流施設「プロロジスパーク仙台泉」やヤマト運輸のBTS型物流施設「プロロジスパーク仙台泉2」が立地。相互の連携による複合的な物流拠点運営にも適している。なお、「プロロジスパーク仙台泉3」の開発用地は、2018年10月にヤマト運輸が「プロロジスパーク仙台泉2」に移転したことに伴い、プロロジスが取得した。

施設構造は、地上3階建てで延床面積5万平方メートル程度の規模を想定。敷地利用計画や施設設計は、入居企業の業態に合わせて行う。冷凍冷蔵倉庫や重量物に耐えうる床の仕様、庫内空調および、マテハンやロボットなど省人化対応のための電力の供給などにも対応する。外構部分についても、専用待機場や洗車場など入居企業の要望に合わせた設備設置が可能であり、多様な物流ニーズを意識した仕様とする。入居企業の利便性を考慮し、大型車両が2階部分へ直接アクセス可能なスロープの設置を検討。マルチテナント型物流施設とする場合は、最小6600平方メートルからの利用を可能とし、4社程度での利用を想定する。

■「プロロジスパーク仙台泉3」の概要
開発地:仙台市泉区大沢
敷地面積:3万2000平方メートル
延床面積:5万平方メートル(計画)
着工:2022年(入居企業の要望を反映)
完成:2023年(入居企業の要望を反映)

プロロジスの東北戦略が意味するところ

プロロジスが、東北地方で物流施設の開発を加速させている。今回開発を決めた「プロロジスパーク仙台泉3」(仙台市泉区)に先立ち、ことし8月には岩手県矢巾町に「プロロジスパーク盛岡」を2023年冬にも完成させる計画を公表。東北地方でここまで開発を急ぐ狙いは、取扱荷物量の増加だけではなさそうだ。

プロロジスは、東北地方で既に9棟の物流施設を開発してきた。22年4月には、マルチテナント型「プロロジスパーク岩沼1」が宮城県岩沼市に完成する。東北最大の仙台都市圏が中心ではあるが、全国における人口重心を考えれば、特に注力している地域であるのは間違いない。

理由として考えられるのは、東北地方の地理的特徴である「広さ」だ。県庁所在地を中心とする都市エリアが点在し、移動距離が長い。さらに大部分が寒冷地であることから、冬季は積雪や凍結でさらにトラック輸送がしにくくなる。ドライバーの労務管理の観点も含めて、プロロジスが物流施設の開発を急ぐのは合点がいく。

大都市圏を中心に物流施設の開発が相次いでいるが、その進出地には開発各社の思惑がある。プロロジスの取り組みからは、地域特性を熟慮した開発方針が伝わってくる。荷主にとっても理解を得やすいと言えるだろう。プロロジスの東北戦略はそれを象徴している。(編集部・清水直樹)