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ライナフと福岡銀、「置き配」普及で連携へ

2021年9月16日 (木)

ロジスティクス不動産管理システム開発のライナフ(東京都文京区)は16日、オートロックマンションにおける置き配の普及に向けて、福岡銀行(福岡市中央区)と連携すると発表した。福岡銀行を傘下に置く「ふくおかフィナンシャルグループ」で展開する「FFGビジネスマッチングシステム」を通じて、福岡銀行の顧客に、無償で置き配用デバイスの提供・設置や導入支援を行う。

マンションのオーナーや管理会社に向けて、アマゾンが提供する荷物受け取り簡便化サービス「Key for Business」や、ライナフのオートロック解錠システム「NinjaEntrance」を活用した置き配を提案する。ライナフはKey for Businessの認定パートナーを務めている。

なお、ライナフの置き配システムはこれまでに、東急住宅リース(東京都新宿区)、京王不動産(東京都渋谷区)、工藤建設(横浜市青葉区)、トーシンコミュニティー(東京都武蔵野市)など、多くの企業への導入実績がある。

ライナフ、アマゾン置き配サービスのパートナーに

金融機関も物流をビジネスチャンスに位置付けている

金融機関が物流ビジネスに熱い視線を注ぎ始めている。福岡銀行がライナフと連携し、オートロックマンションにおける置き配の普及を目指すことになった。消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大を契機とした宅配需要の高まりにより、置き配サービスにさらに注目が集まるようになった。福岡銀行は、置き配業務に新たなビジネスチャンスを見出し、普及を後押ししようとしている。

福岡銀行が置き配に関心を抱く動機は、物流ビジネスとしての将来性と、環境負荷低減策への意識からだ。感染が収束してアフターコロナ時代を迎えても、一気に定着した宅配ニーズが急降下するとは考えにくい。一方で、マンション業界は安全な居住空間の演出を図るためオートロックの整備をさらに進めていくだろう。宅配サービスにおける置き配の位置付けは、今後さらに重要な検討課題になってくることは容易に想像できる。

脱炭素化の視点で見ると、置き配は歓迎すべき取り組みだ。再配達による宅配サービスへのダメージは、配達人の労務負担だけでなく、トラックの配送距離の拡大による排出ガスの増加にもつながるからだ。金融機関が置き配サービスに熱い視線を送るのは、こうした社会課題を一石二鳥で解決できる好機と判断したからだ。物流事業が、他業界から以下に注目されるようになったか。今回の連携劇は、それを端的に示す事例となりそうだ。(編集部・清水直樹)