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仏ジオディス、欧州・香港間の航空貨物路線就航へ

2021年9月21日 (火)

▲ジオディスの貨物機(出所:ジオディス)

ロジスティクス仏ジオディスは21日、英ロンドンとオランダ・アムステルダム、香港を相互に結ぶ新路線をことし10月より運航すると発表した。ジオディスによるアジア太平洋エリアから24時間以内に到達できる欧州エリアが広がる。アジア太平洋における将来の経済発展による欧州への貨物輸送の増加を見越して、路線網の強化を推進する。

ロンドン・スタンステッドからアムステルダムを経由して香港へ、さらにスタンステッド、アムステルダムへの航空路線を週2便運航する。新型貨物専用機A330-300などを使用する。

ジオディスはことし3月、中国・上海とメキシコ・グアダラハラを結ぶ貨物路線を新設。グアダラハラ線については、既存の香港便に続く就航だ。ジオディスはアジア路線を強化することで、欧州の産業界がアジアから確実に調達できる貨物輸送ルートを確保する狙いがある。

ジオディスは世界有数の貨物輸送事業者として知られ、サプライチェーン最適化を含めた幅広い物流サービスを展開。世界170か国近くのグローバルネットワークを構築している。

アジア発の欧州貨物便創設の機運はどうした

ジオディスが欧州と香港を結ぶ貨物路線を新たに就航させる狙いは、欧州企業が熱い視線を送るアジア太平洋エリアにおける存在感を高め、将来の収益源となるビジネス機会を確保しておくことだ。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済停滞からの回復は、中国をはじめとするアジア太平洋エリアで顕著であるうえ、世界における将来の成長市場の筆頭格として、アジア太平洋地域は見逃せない市場だからだ。

欧州の製造業が部品調達をアジアに依存する傾向は、今後も継続するとみて間違いないだろう。欧州に対する地政学的リスクも想定しにくく、技術力は着実に向上しているこのエリアは、世界でも数少ない安定した部品供給拠点と言える。欧州各国がかつて植民地として支配してきた、最後のフロンティアとされるアフリカが、未だに正常不安やインフラ整備の遅れなどの構造的課題から脱却できずにいるのとは対照的だ。

しかし欧州の貨物航空網は、決してアジアで高いプレゼンスを構築できているかといえば、決してそうではないだろう。本来であれば、アジアの航空会社が欧州への貨物航空路線ネットワークを広げることで、アジアの航空需要はさらに高まるはずだ。特に、その役割を果たすべきは日本の航空会社であっても決しておかしくない。アジア太平洋の各国がビジネス機会を実現したいのであれば、アジア発の欧州貨物線を提案するのがあるべき姿な気がする。国際貿易に不可欠なインフラである航空ネットワークの構築について、日本をはじめとするアジアはどうも弱腰に見えて仕方がない。(編集部・清水直樹)