ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

神戸港のCONPAS試験運用でゲート処理時間8割削減

2021年9月28日 (火)

ロジスティクス阪神国際港湾は27日、港湾情報システムCONPAS(コンパス)の神戸港における試験運用の結果を公表した。CONPASを利用したトレーラーについて、利用しないトレーラーと比べて、1台あたりのゲート処理時間が6割から8割削減された。一定の成果が明らかになったことで、今後は具体的な運用方法についての議論も深まりそうだ。

CONPASは、コンテナターミナルのゲート前混雑の解消やコンテナトレーラーのターミナル滞在時間の短縮を図ることでコンテナ物流の効率化や生産性向上を実現することを目的として、国土交通省が開発した。

阪神港での導入を見据えて神戸港でことし8月23日から9月3日まで実施したCONPASの2回目の試験運用で、初めて営業コンテナを対象として輸入の実入りコンテナを搬出するとともに、参加も1回目より大幅に拡大。各機能の運用を確認し、ゲート処理効率化の効果を検証した。

行政による港湾DX化施策を国際競争力奪還の好機に

国交省が開発した、港湾の業務効率化策として注目されているCONPASが、一定の実効力を示した。ゲート処理時間を最大で8割削減できた成果が出たことで、今後はいよいよ実用化に向けた具体的な取り組みを進める契機になりそうだ。

阪神港は、港則法における特定港の一つに数えられ、大阪港と堺泉北港、尼崎西宮芦屋港、神戸港を総称した、西日本最大の港湾だ。なかでも神戸港は、かつての世界的な地位を失ったとはいえ、依然として国内を代表する国際貿易港の一角を占める。

その神戸港で、CONPASの機能が実証された意義は大きい。今後、世界をめぐる貨物量のさらなる増加を見込む状況で、国内の中枢港湾の国際競争力をこれ以上低下させるのは、国益の観点からも決して得策でないのは明らかだ。港湾のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は、日本の国際貿易における将来の姿を占う意味でも、喫緊の課題だ。今回の試験運用の成果を機に、大手海運会社など民間との連携も模索しながら、港湾に活気を呼び戻す取り組みにも注力してほしい。(編集部・清水直樹)