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Amazonが青梅・流山に新拠点、年末に向け物流強化

2021年10月7日 (木)

拠点・施設アマゾンジャパン(東京都目黒区)は7日、東京都青梅市と千葉県流山市に物流拠点(フルフィルメントセンター=FC)を開設すると発表した。2拠点の合計収容能力は140万立方フィート(3万9643立方メートル)で、国内FCの商品保管能力は10%以上増えることになる。

▲アマゾン青梅フルフィルメントセンター</b》(出所:アマゾンジャパン)

「アマゾン青梅フルフィルメントセンター」は延床面積6万7518平方メートルで、すでに9月22日に稼働済み。「アマゾン流山フルフィルメントセンター」は延床面積11万9959平方メートルで、10月13日から稼働に入る。この2拠点の稼働により、同社の国内物流拠点は20拠点を上回り、保管スペースの容積も1500万立方フィート(42万4752立方メートル)に達する。

▲アマゾン流山フルフィルメントセンター(出所:アマゾンジャパン)

同社では「これまで以上に幅広い商品の品揃えを提供し、より迅速に商品を配達できる体制を強化する。ホリデーシーズンに向けて、数千以上の販売事業者が、日本全国のより多くの顧客へ商品を配達できるようになる」と新拠点の開設意義を説明、首都圏の物流機能を高めることでクリスマスや年末商戦に対応する方針を示した。新拠点にはアマゾンロボティクスなどの自動化機能を導入し、作業効率と注文処理速度を高めてトラックへの商品の積み込みと配達時間の短縮につなげる。

同社FC事業統括本部の島谷恒平本部長は「東京と千葉はアマゾンにとって重要な地域。物流拠点の拡充、テクノロジーへの重点的な投資は、地域社会活性化へのコミットメントを表す」と語り、新FCの開設で数千人規模の雇用機会が創出されるとの見通しを明かした。

首都圏の物流拠点整備にみるアマゾンのしたたかな戦略

アマゾンジャパンが首都圏で物流機能をさらに強化する。首都圏の東西にフルフィルメントセンター(FC)を開設。取り扱う商品の激増が見込まれる今年末に備えた体制を整備する。アマゾンが自ら物流機能を強化することで、商品配送リードタイムの維持・短縮とランニングコスト低減を両立する取り組みは、業界の注目を集めそうだ。

アマゾンが国内最大級の「物流会社」としての側面を強烈に示した。アマゾンのビジネスモデルは、物流機能がしっかりと整備されて初めて成立するものだ。新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり需要」は、アマゾンの顧客層をさらに広げた。感染拡大が長期化し、将来の収束後も「新しい生活様式」として定着し続けるであろう宅配ニーズは、アマゾンにビジネスのさらなる拡大を求めることになるだろう。

ヤマト運輸などアマゾンと連携する国内宅配業者は、こうしたアマゾンの動きにどう対応していくか。ヤマト運輸は10月4日、「宅急便」の新たなサイズ枠「180サイズ」「200サイズ」の取り扱いを開始したが、この取り組みは宅配サービスへの対応力を高める取り組みでもある。

アマゾンとしては、商品の種類や配送先に応じた物流チャンネルのカードを少しでも多く確保しておきたい。物流機能の破綻による配送遅れは、アマゾンにとってビジネスモデルの崩壊を意味するからだ。それゆえに、したたかな物流戦略を講じる必要がある。今回の首都圏物流戦略は、こうした文脈のなかの取り組みと言える。(編集部・清水直樹)