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日本郵船、新型係留システム普及に向け欧社と協業

2021年10月20日 (水)

▲「DynaMoor」の使用イメージ(クリックで拡大、出所:日本郵船)

ロジスティクス日本郵船は20日、スウェーデンのポリマーメーカーTrelleborg(トレルボルグ)傘下の海洋港湾資材メーカーTrelleborg Marine Systems(トレルボルグ・マリンシステムズ)と新型係留システムの日本国内での普及に向けて協業すると発表した。トレルボルグ・マリンシステムズの開発した船舶係留システム「DynaMoor」(ダイナムーア)について、ドライバルク船の利用港を中心とした日本国内の各港への普及に向けたコンサルティング契約を締結した。両社は、船舶を安全に係留する取り組みを推進する。

船舶を港で係留する際に、船側から出される係留索と岸壁に設置されたビットを接続するが、係留中も船体は完全に静止することはなく、海面のうねりや長周期波により動揺が生じる。岸壁の側面には船体との接触による損傷を防ぐためにフェンダーと呼ばれるクッション材が設置されており、係留索とフェンダーがバネとなって船体の動揺が増幅すると、荷役の中断や船舶の港外退避により港の稼働率が低下したり、係留索への荷重負荷が高まって破断するなどの大きな事故発生の危険性が高まる。

動揺の抑制には係留索にかかる張力を一定に保つことが有効だとされてきたが、船舶側で張力を調節することが難しく陸側での調節には大がかりな設備の導入が必要になる。船舶の大型化が進み港の安全性や稼働率のさらなる向上が求められるなか、船舶の動揺抑制は喫緊の課題となっていた。

日本郵船はグループの日本海洋科学(川崎市幸区)とともに、トレルボルグ・マリンシステムズ社とコンサルティング契約を締結。DynaMoorの日本国内での普及に取り組む。

DynaMoorは、岸壁に取り付けて船舶の係留索を接続し、係留索の張力を電子制御式の油圧ダンパーで調節して一定に保つシステム。小さな専有面積で設置することができ、荷役の安全性の向上や港の稼働率の向上や停泊中の船舶を含めた、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出削減が期待される。