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SBSリコーロジ、横浜湾岸に先進的物流施設を稼働

2021年10月26日 (火)

拠点・施設SBSホールディングスグループのSBSリコーロジスティクス(東京都墨田区)は26日、「物流センター横浜金沢」(横浜市金沢区)を稼働したと発表した。SBSグループで初となる最先端の物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化に注力した大型3PL拠点。物流施設の進出が加速する東京ベイサイドの金沢地区で、先進的な機能を前面に出して広く訴求していく。

物流センター横浜金沢は、大塚商会(東京都千代田区)のオフィスサプライ通販事業「たのめーる」の3PL業務を中心に、SBSリコーロジスティクスの関東エリアにおける取扱量の増加に対応するために新設した。施設の建造はSBSグループのSBSロジコム(東京都墨田区)が手掛けるなど、SBSグループ間シナジーを活かした2年越しのプロジェクトとして取り組んできた。

SBSリコーロジスティクスが、今回の施設開発プロジェクトで掲げた開発コンセプトは「自動化・省人化・省スペース化」。強みであるLT(Logistics Technology、ロジスティクス・テクノロジー)とIT(Information Technology、インフォメーション・テクノロジー)を駆使することで、最新で最先端のシステムやマテリアルハンドリング設備を独自の視点で設計し開発した。

▲物流センター横浜金沢に導入されるオートストア(出所:SBSリコーロジスティクス)

例えば、従来の保管機器と比べて3倍以上の収納力を持つロボットストレージシステム「オートストア」を2基配備するほか、デジタルピッキングシステムの拡充や自動梱包機、シャトルラックなどの自動化設備を随所に採用。AI(人工知能)やビッグデータを活用したサポートシステムとの融合により、自動化・省人化の追求と保管効率の向上を実現する。トラックバースには大型37台が着車できるなど、荷物の増加にも十分対応できるキャパシティを整えた。

災害時の事業継続対応にも注力。免震構造を採用し、非常用自家発電装置とネットワークとシステムの二重化など最新のBCP(事業継続計画)機能を整備。全館にLED照明を設置したほか、自家消費型の太陽光発電装置も2022年1月に完成する予定だ。「有事に強く作業者に優しい」をモットーに、安心・安全かつ環境に配慮した物流作業空間を創出した。

SBSリコーロジスティクスグループは、今回の物流施設開発を契機として、最新の設備とセンター運営力を的確に組み合わせることで、高品質かつローコストオペレーションを実現し、今後もさらなる顧客サービスレベルの向上につなげる。

■「物流センター横浜金沢」の概要
所在地:横浜市金沢区幸浦1-3-3
敷地面積:2万6612平方メートル
延床面積:5万3828平方メートル
構造:RC+S造、地上4階建て
梁下有効高(倉庫天井高):5.5メートル
床荷重:1.5トン/平方メートル

SBSグループの総力を結集した横浜ベイサイド物流施設、M&A戦略の真価はいかに

SBSリコーロジスティクスが横浜ベイサイドエリアに先進的な物流施設を整備したことで、当地での荷主獲得競争はさらに激化する様相だ。SBSリコーロジスティクスは、SBSロジコムなどグループの持つ高スペックなリソースを結集した、まさに総合物流企業としてのプライドを誇示する施設と位置付けても過言ではないだろう。

消費スタイルの多様化に加えて、新型コロナウイルス禍の収束後のさらなる物量増を見据えて、物流施設の差別化戦略は大都市圏を中心に、いっそう拍車がかかりそうだ。

今回の開発案件は、大塚商会の「たのめーる」商品の配送・保管拠点としての機能拡充を実現する色合いが濃い。SBSグループとしては、物流施設でさまざまな観点から高機能化が加速するなかで、物流業界で存在感を示すための「実力」をここで存分に示しておく必要があった。その意味では、首都圏を中心に物流事業者が手がける施設に引けを取らない水準の施設が誕生したことで、SBSグループは一定の開発力を訴求できたと言えるだろう。

SBSグループは、3PLを成長戦略事業の一角に据え、国内3PL事業者の上位5位入りが視野に入っている。しかし、それはあくまで通過点でしかない。今回の物流施設の稼働は、今後のさらなる成長のスタートラインに立ったことを示す好機となった。さて、SBSグループの強さの源泉でもあるM&A戦略の実力が、いよいよ本領を発揮し始めたのか。真価が問われるのはこれからだ。(編集部・清水直樹)